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第24話:無敵の要塞の攻略法

「正解だ。真面目な指揮官なら数日かけて攻略法を考えるだろうが、真に賢い者なら、相手にしないという選択肢もある」

「では、不真面目な指揮官でしたら?」

ドレイク閣下はニヤッと笑い答える。

「全員で万歳突撃でもさせるだろう」

二人でハハハと笑い、葉巻を勧められる。

「すみません……自分は健康を大事にしたいので……それに給与もなるべく貯金したいので……ご厚意ありがたく思います」

ドレイクは驚いた顔をしながら答える。

「人間ということも踏まえた上でタバコもせず、貯金をする姿勢は称賛に値する。何か私の方で用意できるものがあればお渡しするが?」

「自分自身で使う物はではありませんが軍事戦略の教本の初級を頂けないかと?」

自分の中ではヘルシア閣下の事があった。軍事戦略に特化した女王様のミスレイア陛下とその妹ヘルシア閣下が仲良くする為に一緒に教え合いたい。そんな理想のためだった。

「いいだろう。隣の本棚から好きなだけ持っていくといい」

自分はしゃがみ、本棚を一瞥した後に3冊取り、「ありがとうございます」と言ってから部屋を出る。

部屋の外ではミラエスが待機してくれて若干眠たそうにしていた。

「大丈夫?」

「だ、大丈夫ですよ……でも少し寝たいかも……」

普段敬語だったり、からかってくるミラエスがそんな余裕が無いとなると相当疲れてるのはよく分かる。

肩を貸しながら、馬車まで連れて行き、城に着くまで寝かせてあげる。

国家総動員法が発令されて1週間ちょっと経ったが街ゆく人々は待つこともなく、歩き続ける。そんな景色を眺めていた時だった。通信魔導具からドルヴォーフ陸軍元帥閣下からの連絡が入る。

「はい、レイヴァスです」

「すまんな、侍従長閣下。少々厄介な事になった」

嫌な予感がして仕方なかったが聞かざるを得ない立場なのも事実。

「何が起きましたか?」

「国内にパラディンズの聖遺物が持ち込まれたと陸軍諜報部より上がってきた。閣下の事だ、陛下の暗殺予告の日も知っているのだろう?」

迂闊だった。最近軍事情勢やヘルシア元特使を帰国させる作戦などで忘れてしまっていた。

「3日後の夜です」

「そうか……その時はお前が陛下の部屋で直接警護に当たれ。人間には聖遺物は無効だからな」

「承知しました。陛下のお命は何としても守り切ります」

そして通信が切れて、城に着くとエルメンド騎士団長がお迎えに来てくれて、ミラエスをお姫様抱っこし、そのまま自分のベッドで寝かせた後にひとつ頼み事をする。

「剣技教練をお願いします!」

「いいでしょう閣下。暗殺があるのではという話は伺っております。全力で行きますのでお覚悟を」

「望むどころですよ」

二人で剣術場に向かい、防具をまとって、向かい合う。

相手は帝国最強の騎士、油断すれば防具ありでも骨折すら有りうる。ある意味では陛下を護衛するのに相応しいかの試金石だ。


彼我の距離は開始と共に一瞬でその意味を無くす。

自分はギリギリまで抜剣しない程度まで近づき、片手剣の騎士団長は思いっきり上から振り下ろす。

ガキーーン!!

と火花を散らし、騎士団長の吸血鬼の力で圧される。だが心強いのは陛下から頂いたこの剣には全くヒビも傷も見当たらない。

このままでは押さえ負ける……なら!

一か八かで剣を横に動かして、団長の剣が滑った瞬間に横に来るのは分かっていた。だから身体をジャンプさせながら回転させ、回避して、回避した瞬間に剣をわざと騎士団長の剣を滑らせるかのように上段切りをし、鍔に団長の剣が嵌る。

今しかない……!!これが自分の全力だァァァ!!

右方向に大きくグイッと傾けて、練習用片手剣を折る。

意識が遠のくのを感じで、陛下から頂いた剣を落としそうになる。

「そこまでだ」

騎士団長の声が僅かに耳に入ったため、意識を呼び覚ます。

「はぁ……はぁ……」

手を見ると真っ赤に染まっていた、もちろん団長が負傷した訳ではなく、防具の手袋が破け、皮膚の皮がめくれていた。

「恐れ入ります、侍従長閣下」

「自分も……こんなに力があるとはビックリです……」

「流水の激龍マスターしたようで何よりです。救護室に行って手当てしてもらいましょう」

その時だった、私がやります。と聞き慣れた今だけは駄メイドとは言い難い、優しい声が聞こえる。

「ミラエス……まだ寝てても……」

「陛下に閣下が傷の手当をせずに無理に練習してましたと伝えますよ」

それを聞いたら、陛下との約束を破る事になる……ならば……

「……お願いします」

ミラエスは比較的刺激性の低い消毒液で消毒してくれた後に、薬草を塗ってくれて、包帯を巻いてくれる。

「侍従長閣下、お身体は大事にしてください。私は言葉は駄メイドかもしれませんがいつまでも閣下をお慕いする所存です」

夕暮れの風中で髪がそっと揺れる彼女の髪に少し隠れながら、瞳が潤みを帯びてるのが彼女の優しさだと改めて感じた。

そのままその日はゆっくり休んで翌朝を迎える。明日の夜陛下の命が狙われる……そう思うと侍従長としての仕事に支障が出始める。

タイプライターを打ちながら、次期侍従選抜会議の書類を作っていたが誤字が多く何度も1からやり直す。だが一つ気がついたのが昨日の怪我が今日の朝には治っていた。

昔から傷はすぐに回復するほうだと思っていたが、まさか……陛下の仰った吸血鬼の血が自分には流れてるのは本当だろうか……

「閣下、書類ミスが今日は多いですね」

そう言ったのは副侍従長ハレルオンだった。

「そうだね……暗殺計画の件があって……」

「ご安心を。現在城内では第1次戦備体制を敷いてます。簡単に侵入されることは無いはずです」

その言葉に安心し、今日はまだ午前中だが仕事を切り上げることにし、陛下の部屋に訪れる。

「なんだ?どうした?」

「明日の夜……その……ここで寝てもいいですか?」

陛下は驚きと唖然の表情を見せながら、理由は?と問う。

この際演技でもいいから、何とか理由を探す。

「陛下のことが恋しくて……」

「……ヘルシアも一緒なら構わんぞ。前にも軽く言ったがお前には吸血鬼の血が流れてる。それもとんでもないのがな。万が一を考え、魔眼を持つヘルシアも居させてもらう」

自分はありがとうございます。と言い、明日よろしくお願いします。とだけ伝え、執務室へと戻る。陛下と妹の閣下のヘルシア殿は絶対にお守りする。そう固く誓った。

お疲れ様です!ご拝読ありがとうございます!今日の最後の投稿になります!時間帯がズレてしまい、申し訳ないです…

さて第1巻も残り僅かです。第2巻のストックも急ピッチかつクオリティを維持しながら鋭意制作中です!そしてこの吸血姫の執事シリーズを終えた後の次の作品も手掛けてます!ここで予定タイトルを公開しようと思います。「この少女、僕が買います」です!少年兵と不遇な少女達のミリタリー物語として書くつもりです。続報派乞うご期待!そしてブックマークや評価も励みになりますのでよろしくお願いします!

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