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第22話:帝国の少年少佐と練兵課題

帝国城 翌日 昼食時

自分は普段通り、人間用の食事を受け取る。カレーライスとサラダといういつもより普通だがいつもが豪華すぎるのだ。吸血鬼さん達は……

「赤い……カレーライス……」

厨房のお姉さんに聞いてみる。

「お姉さん、忙しい中失礼。このカレーライスって血液が入ってますか?」

「はい!B級ランクの血液とC級ランクの血液を混ぜて使っておりますよ!」

「なるほど!教えて下さりありがとうございます!」

自分の中ではもう1つ疑問が生まれていた。これらの血液はどこが管理してるのか。昼食後に侍従本部でハレルオンに聞いてみる。

「その質問はですね、血液管理省ブラッドオブバンクと呼ばれる管轄が担当してます。閣下の事ですからきっと販売方法も気になりますよね。国から医療用を除いた日常生活分の血液交換券が国から支給され、追加料金でランクの高い血液を手に入れるのが一般的です。ブラッドオブバンクには人間の国で仕事にありつけなかった人達が厳正な管理の下で血を捧げてくれる役割をしています。もちろんお給料もあります」

なるほど、もし侍従長にならなければ多分自分もそこへ……

「ありがとう、連邦との国境線に向かった騎士団長から報告は?」

「それが些か不穏なものでして……」

数日前 アルスヴァーン帝国とヴァンルテッド連邦国境線にて

「やはりか……要塞線手前に軍用のテントを張ってる……しかもあの生地の伸び方からして対防弾・対破片用だろう……それが数百キロメートルに点在するか……」

我、エルメンド騎士団長は国境線の村の民にお世話になりながら偵察を続けていた。事前に隠していた数千名の初動対策部隊の兵員からも話を聞くが連邦は本気で攻めてくるつもりらしい。

「外交省……貴殿らがどれだけ時間を稼げるかが勝負だぞ……」

すると沢山歩いたからか空腹と吸血欲に襲われる。

「まずいな……手持ちの緊急用は使い切ってしまった……」

その時一軒家が1つ立っており、ノックする。

「はーい、あ、もしかして騎士団長様でしょうか?」

「はい……実は今偵察任務中でして1晩お世話になれませんか?2万リレンほどなら出せるので」

すると奥さんは気優しく答える。

「お金なんてそんな……騎士団長様達は国を守ってくださいます。どうぞ、狭いですがごゆっくり」

「ありがとう……お邪魔しまーす」

小さな家屋は煉瓦造りのドーム状に近かった。恐らく貧困民だろう。すると小さな男の子が駆け寄り、敬礼する。

「団長閣下、お疲れ様です!」

「うむ、貴官も健勝そうで何よりだ」

「では、小官は課題任務に当たります!」

すると少年は少し離れた机に向かい、必死に勉強に挑む。

すると奥さんが小さな声で伝えてくる。

「あの子……実はあまり勉強ができなくて……イジメもかなり受けていたのでここで農民として暮らしてます。でも……死ぬ覚悟と優しさはあるから軍人になりたいと……」

我は悩んだ……多分彼の年齢の勉強は彼なら既に勉強が終わっていなければ士官にすらなれないだろう。おそらく永久に兵士長か……そして最期には……

「彼の名前は?」

「タリアです」

我はなるべく勉強を邪魔しないようにゆっくり近づき、彼に問う。

「タリア少佐、少しいいかな?」

「騎士団長閣下……!そんな僕が少佐なんて……」

「いや、君は性格上は軍幹部のポテンシャルはある。だから問おう。人を助けるために軍に入るのか?」

彼は少し混乱した様子だったが……

「いじめてきた奴らも生きてる存在です……守るのが軍の務めです……」

「タリア少佐、君には非常時緊急対策部隊への異動を命じる」

「え……?」

彼は唖然としていた。

「君みたいに優しく、死ぬ覚悟がある吸血鬼は少ない、だからこそリスクが高く、我々を最も必要とする国民を助ける部隊である非常時緊急対策部隊に行くといい。もう少し勉強を頑張る必要があるが上級士官の君なら問題あるまい?」

彼は涙ながらも答える。

「異動命令、拝命致します。全身全霊で取り組みます!」

その後彼はすぐに勉強に取り掛かった。

すると奥さんから手料理を頂き、その際に一言貰う。

「息子に希望を与えて下さり感謝致します。こちらC級血液になりますが……」

「いいんですか?大変でしょうに?」

奥さんも涙ながら答える。

「騎士団長様が倒れられては息子も耐えられないはずです。安いもので申し訳ないですがお受け取りください……」

「ありがとう……大切に使わせてもらいます。夜間偵察もあるので私は失礼します」

「騎士団長閣下!ご命令の遂行、心よりお祈りしてます!」

「タリア少佐も非常時緊急対策部隊に入る日を私も楽しみにしている。それまでしばしのお別れだ!」

しっかりと握手をする。そのままドアを開けると夜の冷たい風の中で偵察任務をこなす

その後の報告書にはテントの位置や民間人に扮した武装人員の数、迫撃砲陣地の位置などを伝書鳩で飛ばす。我は星を見ながら一言つぶやく。

「国家の新しい芽が摘がれる事があってはならない……」

そして我は再び、枯れた地面を軍靴で踏みしめながら夜の一歩を踏み出す。


騎士団長の帰還を自分が真っ先に引き受けた。

「騎士団長どうでしたか?」

「侍従長閣下、はっきり申し上げてすぐにでも国境線10キロメートル圏内から国民を退避すべきです」

団長の頭にはタリアとの出会いがあった。今突然戦争が始まれば彼の頭に砲弾が落ちるのは時間の問題だ。

「信頼できるエルメンド騎士団長の頼みです。自分から陛下に伝えておきましょう」

「その必要は無いぞ」

陛下の声が響くとソファの後ろから「バァ?」と軽く疑問口調で面白かったかどうか表情で聞いてくる。

「陛下、お戯れもほどほどに」

自分の言葉に陛下は「私は本気だ」と返す。

「とにかくすぐにでも避難計画を各中央省庁に依頼する。想定される住人の数は……3万人から5万人くらいだろうな。女王様として本領を発揮する。それはそれとしてレイヴァスよ、さっきの私は可愛かったか?」

「いつも通りの陛下だなと」

「つまらん男だな。お前と付き合う女性が可哀想だ」

戦争前夜とは思えない雰囲気の中で、陛下は自らコーヒーを淹れに行くが自分が淹れると言うと……

「お前は侍従長としてすぐに閣僚をまとめておけ」

「は、はい!かしこまりました!」

自分は急いで部屋を出て内閣閣僚本部へと移動する。

同日深夜 アルスヴァーン帝国 無人島周囲域にて

「午前零時を確認。チェック」

「「「よし。」」」

この黒い服装に僅かな樹木林の葉っぱを着けた、男達は一斉に4隻の高速輸送艇で島に向かう。赤い魔術光で僅かな点滅すら逃さまいと目を光らせながら海上を高速移動していた。

そして上陸と同時に素早く輸送艇に偽装用の網をかけて、行動する。各15名の動きからしてこの時代では常識外れの部隊だった。そもそも装備が最新型のカービン型10連発ライフルに魔力エネルギーで無音で飛ばす亜音速拳銃、そしてオリハルコン製のナイフ。

チームは赤い魔術光でやり取りしながら、次々と目標の情報を集める。

それにはあまり時間はかからず、4時間ほどで重砲の位置、歩兵部隊の規模、騎士隊の位置、敵司令部の拠点。それらを全てメモした上で無線封鎖を解除し、通信魔導具で報告と同時に敵司令官を模した人形の脳天を狙撃する。

ズドン!

という音と同時に「演習完了!」 との声が響く。

報告を聞いた陸軍元帥ドルヴォーフも満足そうだった。これなら帝国の脅威である連邦の斬首作戦すら可能だろう。

その知らせは海軍元帥ヴァルツの耳にも入った。

「同期のやつ、やってくれるじゃないか。本当に実現しまうとはな」

そのままヴァルツは通信魔導具で侍従長閣下を呼び出す。

朝方からなんだと自分は思いながら通信に出る。

「はい、侍従長です……ファ〜……」

「お休みのところすみません。閣下。ドルヴォーフが成功させたようです。これでいつでも連邦との戦争が開戦した時には要塞線無力化出来ます」

自分でも驚きだった。まさか本当に無線封鎖部隊を確立させるとは……

「頼もしい限りですね。戦艦の方はどうですか?」

ヴァルツ閣下は少し黙ったあと、あまり言いたくなさそうに答える。

「ラインルート准将が必死で計画を立てているがそもそもの造船能力、重工業能力に異常な負担をかけているようなものです。これが長期化すれば危険かと」

「もう少し労働の人口の集中は可能ですか?」

それに関してもヴァルツは重い口を開く。

「国民インフラ基盤や食料生産能力に致命的な影響をもたらすでしょう。現在我が帝国では労働人口の1/3を徴兵し、訓練中。別の1/3を軍用兵器製造、残りは国民のインフラ整備等。仮の話として現在徴兵した500万人の吸血鬼が壊滅すれば更なる工業能力低下は避けられないでしょう」

自分は深く考え込む。このアルスヴァーン帝国の常任戦力は14万人、予備兵力6万人、そこにいきなり500万人の民間人の訓練。キャパシティオーバーもいいところだろう。対策を打つ必要があるのは目に見えている。

「分かりました。ありがとうございます。ヴァルツ閣下」

「こちらこそ、朝早くからすみません侍従長閣下。それでは」

通話が切れる音と共に、自分はある戦略的相談を女王陛下に持ちかけることを決めた。それは……人間達との不可侵協定だ。そうすれば連邦との戦闘だけで済むかもしれない。運が良ければ吸血鬼狩りのエリートのパラディンズの動きも止められるかもしれない……一か八か相談しようと着替えて、いつもより濃いめのコーヒーを飲み、陛下の部屋へと向かった。

今日も一日お疲れ様です!黒井冥斗です!

明日から平日だったり、もしかしたら土曜日がお仕事で月曜日が休みだったりの人もいるかもしれませんね。そんな方々にもご朗報です!本日は3話分投稿します!少し早い理由は今日午前中から執筆し過ぎて疲れたので早めに休息を取ろうと思います。皆様もご拝読ありがとうございます。お身体にはお気をつけください

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