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第18話:無線封鎖連隊戦闘団ゴースト・イーグル

安全保障会議に向けて資料を作っていると嵐の如く陛下が侍従本部に遊びに来る。この遊びに来るというのは比喩ではなく、過去の侍従長は遊びに来ないでくださいと言ったらしいが陛下はブチ切れ、見事に国境線の小さな村役場に飛ばされたらしい。多分陛下は心の寂しさを埋めて欲しい。自分にはそう思えた。

「陛下、来てくださって嬉しい限りです。なにか手伝える事はありますか?」

「そうねぇ……マッサージの練習とかしたいわ。ミラエスちゃんに教えてもらいながら、レイヴァスが実験台ね」

拝啓、お父さん、お母さん。2人にこんな事を思う日が思いませんでした。私は今から陛下に実験台にされると目の前で言われました。死んだらすみません。

そんなしょうもない言葉が脳に浮かび、早速マッサージを受ける。

「へ、陛下!そこのツボは自分弱い!から!や、やめ……あぁぁ……」

「自ら弱点をさらけ出すなんて頭の悪いワンチャンねぇ」

陛下の快楽攻めは強烈で疲れも疲労も取れたが別の意味で疲れた。

そしてラミーナから一言。

「侍従長閣下この事少しお慕いしておりましたが、もう喋りたくないです」

可愛い吸血鬼の女の子にそんなことを言われ、散々なコンディションで安全保障会議に望む。

もはや見慣れた陸海軍元帥と帝国国家保安局長官に加えて、シンクタンクと呼ばれる民間人の有識者が多いのが帝国の安全保障会議の特徴だ。政治的立場より、実力主義の帝国ならではだろう。

彼らには共通点がある、お酒、葉巻、シガレット大好き。陛下は嫌な顔をしながらも取りまとめる。

「あー会議を始めるが煙たいものはほどほどにな。酒飲んで暴れたらメンバーから除外だからな。じゃあ始めるぞ」

まず、最初に名指しされたヴァルツ海軍元帥が高速揚陸艇の大量生産とそれの補給や医療物資等の拠点の輸送艦とする戦法を提案し、帝国で最も連邦に近い港なら2時間ちょっとで敵の側面に回り込める計算だった。

「有識者の皆様のご意見を伺いたい。何でもいい、いい所でも悪い所でも」

正直軍大学を首席卒業し、当時最年少で軍務省作戦局長を務めた後に、海軍元帥になった彼の経歴は化け物同然だ。穴など見えない。

1人が挙手する。

「閣下のプラン、これ以上ないくらいに革新的かつ、要塞線を無用とさせる戦略はもはや神の一手と言えるでしょう。そこで私から提案なのですが精鋭特殊部隊として無線封鎖連隊戦闘団の設立を提案します。彼らが先行に隠密偵察を図り、敵の配置や重砲の位置などを特定し、全ての情報が集まった瞬間に通信魔導具で報告。上陸の流れの方がいいかと」

連隊戦闘団、本来旅団や師団と呼ばれる単位は戦略面での総合兵科部隊であり、連隊は1つの兵科の最大単位、人数は兵科にもよるが1000名前後、それを3〜4個専門兵科で集めたのを連隊戦闘団という。だが無線封鎖というのはかなり厳しい。しかも敵地で、相当な訓練と才能のある人材が……

ドルヴォーフ陸軍元帥が挙手する。

「無線封鎖連隊戦闘団計画は我々も昔から理論立てて研究していた。現在3個大隊で構成されてる戦闘団がある。無人島で演習をしているが非常に優秀だ。部隊名はゴースト・イーグル。幽霊のように発見されず、痕跡すら残さず、情報収集と敵のリーダーの殺害に特化した非常に強力な部隊だ」

周りから感嘆の声と拍手が上がる。

そのまま議題が移り、国民生活への影響へと移動した。

物価に詳しいシンクタンクから説明が入る。

「現時点で我が国では平均30%の物価上昇に伴い、同時に民間品生産能力低下による更なる物価高は避けられません。最悪の場合致命的な陛下への支持率の影響があるかと」

軍務連中は俺達は関係ないという顔で葉巻を吸っている。

「正直私の支持率はどうでもいい。元々覚悟の上だ。だが民を苦しめるなら、話は変わってくる。かつて私のお爺様が立ち上げた食料保管施設から4年の戦争を想定したペースで出庫しろ。また買い占め等も厳禁にする方向だ。私は善良な民には優しいが転売して、利益を稼ぎ、必要なものが手に入らなくする国民と言うより犯罪者は徹底的に処罰せよ。罰金と食料品の押収で構わない。長官、可能か?」

国家保安局長官が「問題ありません。可及的速やかに罪刑法定主義に基づく資料を作ります」と答える。

そのまま安全保障会議が続き、最後の課題……石炭や石油といった燃料問題だった。

「現在我が国の燃料の調達の4割を輸入に依存しており、その代表が連邦です。代替先を見つけなければ国力基盤・戦争作戦能力に致命的影響があるかと」

自分も恐れていた話だ。だが、陛下には肝入りの案があると仰っていたが……

「全員よく聞け。今からする話は家族にも漏らすな。我が国のエネルギーの代替輸入先として比較我々吸血鬼の仲のいい国のトリアーナ協商連合国が協力してくれる。私の妹であるヘルシアが特使として上手く関係を調整してくれたおかげだ。だがこれが広まればトリアーナも刃物を向けられる事になる。内密に頼む」

そして全ての課題が終わり、何故か自分の部屋まで着いてきて、自分がベッドに座ると膝に腹這いになり、大人しくする陛下とそれをただ見るだけのミラエスがいた。

「陛下、妹様がいらっしゃったのですね?」

「うむ。私と違って礼儀正しく謙虚な子でな。私のことをお姉ちゃんと言ってくれた。だがもう30年会ってない……トリアーナとの調整が忙しく、どうしても時間が取れないと言っておる。姉としては寂しいな」

陛下は苦し紛れの笑顔を見せたが自分が一言。

「戦局が安定したらトリアーナに行ってお会いしませんか?自分も随伴しますよ」

「本当か!?それは楽しみだな!開戦したとして、ルートを確保できればぜひそうするぞ!!」

陛下は相当嬉しかったようで、足をバタバタさせている。正直可愛いと思ったがミラエスが余計な駄メイドを追加する。

「陛下、侍従長閣下は陛下に性的な気持ちを持っている顔をしてますよ」

「知ってるわよ。吸血鬼なら匂いで分かるわ」

とんでもないカミングアウトを受けて、自分は今までの行いを振り返り泣きたくなった。


お拝読お疲れ様です!ここから軍事と政略が激しくなってきます!振り落とされないようにお気をつけください!

それにしても無線封鎖連隊戦闘団構想、現実でも多分一部の部隊はやってそうですがこの作品の時代で見れば困難極まりないと思われます。あとゴースト・イーグル以外の名前も考えていたのですが直接的に伝わりやすくていいかなと思い採用しました!さぁ、次のお話は陛下の妹ヘルシア閣下の状況です!陛下は無事に妹様とご再会できるのか!乞うご期待!

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