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第13話:英雄亡国カルイア王族の血

帝国城 剣技練磨場にて

「その程度か!?副隊長!ムーン・ナイトメアの名が泣くぞ!!」

激しく互いの剣を打ち鳴らし、素早く動いては、動きを予測する。

「団長こそ、力が落ちたのでは?!」

ガキンっ!!

と激しく鍔迫り合いが離れた瞬間だった。騎士団長エルメンドが唱える。

「剣技には想い、覚悟、そして決断が必要だ」

騎士団長が本気で攻める際に唱える言葉で騎士団長の家系から代々続いてる言葉らしい。

唱え終わった瞬間に音速に匹敵するソニックブームと共に副隊長の剣が弾き飛ばされて、首に剣を当てられる。

「ここまで……だな」

「団長がその本気を訓練に出すなんて大人げないですよ」

団長ばガハハと笑いながら、陽気に喋る。

「仮に訓練でもこの技を弾かれたら引退するつもりだからな。明日も覚悟しておけよ」

「失礼します!」

自分が入場すると他の騎士団員も訓練をやめて敬礼する。

「おぉ!侍従長閣下殿!剣技の練習ですか?」

「えぇ、ちょっと頭からある言葉が離れなくて……リフレッシュ代わりに」

なら。と団長は言うと団員を集めて団長自らコーヒー豆を挽き、手早くコーヒーを作る。

「絶品だから飲んでみろ」

「自分から言っちゃうんですか。でもありがとうございます」

そう言って、自分はほろ苦くも温かく、優しいコーヒーの味に安心感を覚える。

「さてと、副隊長は剣技観察。俺は閣下のお相手をする」

自分は居合の場に立ち、陛下から頂いたクラシカルレイピアを構える。何度も団長に教えてもらったその構えの名は「流水の激龍」。レイピアの剣身で相手の剣を流水の様に滑らせ、独特な形の鍔で相手の剣を龍擊の様に折り、無力化するという本来なら人間には出来ない。でも自分には陛下を守るお役目がある以上マスターしたい。

「では、参りましょう閣下」

エルメンド騎士団長はクルセイダーソードと呼ばれる片手剣でとてもバランスの良い剣だ。しかもお手軽。何故団長がそんな50万リレンもあれば買える剣を愛用してるのかは知らない。

「はい……」

カチャン……と自分の剣は音を立てて、上段斬りの構えを示す。

「ほーう……では、私から……」

突然、団長の一人称が変わった事に違和感を覚えた刹那で距離は詰められた。もはや上段斬りでは間に合わない。素早くバックステップし、流水の激龍の構えに入るが団長の動きはあまりにも早く対応が取れない。

「くっ……!はぁぁぁぁ!!」

上手く団長の軽量のクルセイダーソードがレイピア上を滑り出す。

今なら……!!

鍔まで滑らせて、後は折るだけ!!

が、身体の距離が近く団長は剣を離すと素早く、自分の腹部に打撃をして、怯んだところを剣を取り直して、首に当てる。

「閣下、率直に申し上げて剣術の飲み込みが上手いですね」

「ゲホッゲホッ!まだまだですよ……陛下をお守りする上ではもっと強く……」

団長は自分を見た時に一瞬瞳の形を変えるほどの驚きを見せたがすぐに笑う。

「ガハハ!流石侍従長閣下殿!今日はもう休むといいですよ。あと、自分に自信を持ち、己の限界を超えたいと本気で願えば自然と力は降りてきます」

「ありがとうございます……」

自室へ戻り、ふと陛下の血の味を思い出す。

「やっぱり恋しいなぁ……」

「でしょ?」

「うん……え?」

陛下が自分のベッドで腹這いになりながらニコニコでこっちを向いていた。

「何故ここに!?」

「あなたの剣技練磨を見ていてね、ちょっとご褒美をあげようかなって。飴と鞭は調教の基本でしょ?」

やっぱり陛下は自分を犬かなにかと勘違いしてるのだろうか……

「血が欲しいんでしょ?安心して、満足させてあげるから……」

軽く小指を切り、陛下の蜜のような甘い香りすら感じる血の匂いに自分はもはや欲求を抑えられずに吸い付く。

「そんなにがっつくなんて飢えていたのね。人間すら魅了しちゃうなんて私の血は本当にあなたには蜜なのかなぁ?」

確かに美味しい。そして本能が求めている。もしや、自分が実はハーフヴァンパイアと呼ばれる種族なのかと思いながら5分ほど舐めるように吸った後に心が落ち着く。

「満足した?」

「はい!ありがとうございます!陛下!」

「まぁ、あなたは本当はハーフどころが3分の1ヴァンパイアの血が入ってるから当然と言えば当然なのだけれどね」

え?その言葉に驚き、自分が固まってる間に陛下は自分の部屋を去る。


帝国海軍参謀本部 午前零時

吸血鬼にとってこの時間は仕事時間でありながら、1番捗る。だが、今私は諜報部に調べさせた資料を見て、驚きと衝撃に頭を抱えている。

「まさか……侍従長閣下が亡国、カルイアの王族の血を引いていたとは……」

お気に入りの葉巻を吸いながらでも、軍大学を首席で卒業した私ですら何故このようになったのか皆目見当もつかない。

亡国カルイア、覇権戦争にて吸血鬼側勢力として最も吸血鬼に貢献し亡びた英雄的国家だ。国民・王族・兵士の9割以上が亡くなったと聞いていたが……

「海軍元帥の力でも限界か……そもそも何故吸血鬼だとしたら血を飲まずに正気を十数年保てた?吸血鬼じゃなければカルイアでは処刑されるはず……しかも王族ときた」

カルイアの過去を調べる手立てが無く、仮に他にも人間領域内等でカルイアの生き残りがいれば救出せねばならない。英雄的な国家一族への恩義として。

その時、ピアノの音色を思い出した。娘がよく弾く曲の「逃亡への策略」というなんとも娘にはあまり弾いて欲しくない曲名ではあるがとても記憶に残る高音と低音の差が耳に残る。

「逃亡への策略……仮に閣下が血を必要としないレベルまで人間の血を加えたとすれば……」

私はそのまま、海軍各艦隊の訓練状況を見ながら、仕事に没頭して頭のスイッチを切り替えようとする。

帝国城 侍従長室 午前7時

陛下からの吸血鬼の血が入っているという言葉に引っかかっり、上手く寝れず、落ち着かない夜を過したが何とか朝は目覚められた。

いつも通りのルーティンでコーヒーを用意しながら、着替えを済ませて、食堂で朝食を頂き、侍従本部へと向かう。そんないつもすら今日は違う気がした。

侍従本部の扉を開けようとした時には既に静か過ぎて嫌な予感がしたが、それは的中した。

ハレルオン副侍従長が帝国国家保安局からの情報です。と封筒を渡し、全侍従の前で開封する。

要約するとパラディンズの中でも聖騎士クラスの者が密入国し、陛下の命を狙っている可能性があるというものだった。

「……この件は陛下には一旦伏せておこう。我々で対処するべき事案のはずだ。ハレルオン副侍従長は帝国国家保安局の帝国重大事案部へ連絡して、信頼できるメンバーを使って国内調査も実施する。できるか?」

「問題ありません。しかし……なぜ予定時刻と日時まで……」

「人間の心理では目立ちたがり屋がよくやることでもある。予定日時以外の日も警備を厳重に」

「「「はっ!!」」」

自分も仕事をしようとタスク表を見た時に今日は新外務大臣との連邦に対する無期限安全保障条約の対応についての議題だった。

「ハレルオン、いつも任せてすまないがちょっと新外務大臣のところまで行ってくる」

「はっ!お気を付けて!」

すぐに城門前の車に乗り、石炭燃料の黒煙を吹きながら、外務大臣官邸へと向かう。

幸いにも話は通っていたのですぐに入り、外務大臣との協議が始まった。

「実は私共の方でも連邦に条約の見直しを要求しているのですが、調印式の際に3年間は変更不能と書かれていたことが発覚しました」

条約文が手渡され、中身を見る。完全に我々を利用する気だ。

「我々は完全にパラディンズ撃滅の為の共闘というカードの使い方を誤った。そして取り返しのつかないところまで来てしまった。という感じですね」

「その通りです。侍従長閣下」

久しぶりの胃痛に悩まされながら、お互いに意見を述べた。

外務大臣としては外交交渉で時間を稼ぎつつ、侍従本部は戦争に備え、陛下の身の安全や軍務省や軍令部からの取りまとめが決まり、帝国城へと戻る。

予想以上に協議が長引き、夕焼けに照らされる帝国城の姿は美しさと凛々しさを兼ね備えていた。

そのまま、今日の報告文を書くために侍従本部のドアも今では気兼ねなく開けれるようになった。

「戻りました〜」

「「「お疲れ様です!」」」

報告文を執筆してる間に通信魔導具が鳴る。

「はい、侍従本部です」

「閣下、お久しいですな。ヴァルツ海軍元帥です。実はお聞きしたい事がございまして……」

ヴァルツ海軍元帥が質問?あまり良いイメージがないがとりあえず引き受ける。

「吸血鬼の血液を欲したことはありませんか?」

「陛下の血は好きですよ。それまでは血を見るのも嫌でしたけど」

ヴァルツ閣下は黙りながら、数秒ほどで返す。

「ありがとうございます閣下。お忙しい中失礼しました」

と言って切られる。

ヴァルツ元帥も自分の出自について調べているのだろうか?正直自分が1番知りたいが。

報告文を書き終わると同時に疲れからか眠ってしまい、目を覚ますと深夜だった。

報告文は可能な限り早く、女王陛下に渡すことが決められているのですぐに陛下の部屋に向かうとエルメンド騎士団長に止められる。

「すまない。閣下、今はお通しできません。陛下は独りで悩んでおられます。どうかお許しを」

陛下は独りで考え過ぎちゃう癖を治してあげたいと思いながら、一礼して戻ろうとすると騎士団長から止められる。

「閣下、陛下は実は……幼い頃に目の前でご両親を亡くしておられます。先帝陛下はとても優秀で民思いのお優しい方でした。だから陛下はたとえ独りでも国難に向き合う姿勢を崩しません。私からのお願いです、陛下の心の支えになってあげてください」

自分は静かに騎士団長の目を見て答える。

「元より、陛下にご尽力するつもりです」

騎士団長はありがとうと言って警備に戻り、自分は自分の出自、人間連合軍と連邦との戦争、パラディンズによる陛下暗殺計画など対応すべきことが多すぎて頭がパンクしそうだったが、休まなければ陛下が自分を必要とした時に対応できないと言い聞かせなんとか寝床に着く。


皆様おはようございます!朝から手に取って頂いた事誠に感謝を申し上げます。普段より少し早く目覚めたので通勤・通学用に1話分投稿させてもらいました!もしよろしければでいいのですがブックマークや評価は大変心の励みと作品の情熱が深まるので面白ければぜひともお願いします!それではげんきに行ってらっしゃいませ!

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