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第12話:吸血姫の誕生日プレゼントは高すぎる

陛下が自分に買ってくれた剣の武器屋に訪れる。

「予算足りるかなぁ……」

財務省に頼んで2ヶ月分の給与を前借りしたとはいえ、合計100万リレン。剣の相場が分からないので困りながらも武器屋の前でウロウロしていると茶髪で作業服姿の可愛らしい少女が顔を出す。

「お客様……?」

「あ、ごめんね。大切な人にプレゼントを渡したくて……」

少女は頷きながら、自分の剣を見る。

「もしかして変態侍従長閣下ですか!?」

「うん、変態は正式には付かないからね」

「陛下に剣をプレゼントしたいんですけど何も分からなくて……唯一100万リレンを握ってきました」

彼女は顎に手を当てて考える。

「陛下がお使いになる両手剣は大体500万リレンから2000万リレンの物を好むので……」

自分の心はガッツリ落ちてしまった。

「他のプレゼントを探して……」

「待って!侍従長さん、とても剣を渡したそうにしてたから、材料費は貰うけど自分で作るなら私も手伝うわ!」

「本当ですか!?」

心からの救いに感謝し、早速帝国城に材料として金属や宝石を運び入れ、この幼いが技術は確かな少女に指導してもらいながら剣を打っていた。

侍従本部には休暇申請を出して、ハレルオン副侍従長がすぐに状況を察してくれて、速やかに処理してくれた。

「そう言えば君、名前は?」

「私?私はねミリーナって言うの!……剣の打ちが甘い!もっとしっかり!」

「はい!精進!」

私は気になっていた。最近帝国城に国内最高級の武器屋の娘が出入りしてると報告を聞いて、鍛治部に訪れるとレイヴァスが女の子とイチャイチャしながら武器を作っている。

情報源は私の周りには沢山ある。メイドから護衛、副侍従長も。まずは護衛が「見慣れない少女が出入りしてる」と聞き、メイドが「侍従長閣下が彼女を作った」と聞き、副侍従長が「誤解です!閣下は職務で仲良くしてる」と言い、私の脳内結論は浮気だった。

「うぅ……!!私のレイヴァスを……」

ハレルオン副侍従長が陛下のお側にいたが、とてもじゃないが声をかけられず、そしてプレゼントだとも言えず、悩んでいた。

その間にも武器屋の娘とレイヴァスはどんどん仲良くなり、誕生日ですら剣を打っていた。

「信じられないわ!私の誕生日よりあの子と剣を作るのを優先するなんて!アイツは首よ!後任なんてどうでもいいから!ハレルオン!書類持ってきて!」

事情を知ってるからこそハレルオン副侍従長には重大な使命がある。

「陛下、誕生日を過ぎてから考え直してみては?」

「はぁ、それもそうね……あんな奴がプレゼントくれても首は確定よ」

陛下、怒り心頭だなぁ……でも、プレゼントで心を改めてくれる事を祈るしか……

そして誕生日晩餐会にも出席しなかったレイヴァス侍従長に陛下は深夜にずっと泣いていた。エルメンド騎士団長が慰めながら「侍従長は必ず、陛下の気持ちにお応えします!」と言い続けていた。

そして午後11:55……

「陛下!」

ドアを開ける自分と泣きながら剣を向けてくる陛下。修羅場になったのは申し訳ないと思いながら答える。同時に騎士団長が「陛下、きっとお喜びになりますよ」とだけ言って、部屋の外に出る。

「陛下に手作りの最高級品の剣をプレゼントしたくて……武器屋の娘さんのミリーナさんと仲良くしてたことは謝ります!でも、自分にとって忠誠を尽くすのは陛下のみです!」

剣を下ろし、陛下は「ふざけた剣なら、本当に許さない」と言い、箱を開ける。

ドキドキしながら綺麗な白い箱を開けると陛下は両手で口を抑えて、嬉しさからの嗚咽声を出す。

「これって……」

「はい、陛下の王家の勲章を作ってみて、信頼してもらえるように陛下と同じ瞳の色のルビーをはめ込んで、両手剣も純銀製で対吸血鬼戦も十分に戦えます。ご不満なら捨てても……」

陛下は嬉し涙のような少しづつ垂れる涙を見せながら「ありがとう!」と答えて、抱きつく。

「レイヴァス!この剣と貴方にあげた剣は私たちの信頼の証よ!」

「陛下……」

自分も思わず涙を流してしまい、ミリーナちゃんがドアの隙間からグッドポーズをするのがボヤけながら見えた。

そのままその夜は二人でラウンジから月夜を眺めながら、帝国式剣術を陛下から賜ったが騎士団長からも教えてもらった方が早いと言われたにしろ、この誕生日は一生忘れられない日になったのは間違いなかった。ただ職務が更に忙しくなる事を覚悟したが陛下がここまで喜んでくれたのならプラスだ。自分の心が喜ぶのを感じ、職務に誇りを持つ。


陛下に剣をプレゼントしてから毎日朝4時から朝8時まで騎士団長にしごかれ、1時間の朝食休憩の後は侍従本部での会議と職務、午後に1時間の昼食後は他部署との交渉。眠る時間は夜22:00と非常に安定していた。残業もなく、今まで忙しさはなんだったのかと思いながら2週間が経過していた。

「閣下、なんか退屈そうですね」

ハレルオン副侍従長の言葉に我に返る。

「あぁ、すまない。最近毎日が安定しすぎて不安なくらいなんだ」

「確かに最近は特別大きなことも無いですね」

すると自分は大事なことを思い出す。

「あ、借りてた本返さないと!」

「それは大事ですね。私がここは統制しておきます」

「ありがとう!」

自分は小説を3巻分片手に持ち、図書館へと向かう。物静かな城内は陛下の心の安定と繋がっているのかとすら思える。

お疲れ様です!という言葉が城内に響き渡り、平和を噛み締める。

図書館に着くといつもの司書さんが笑顔で迎えてくれる。

「お疲れ様です、侍従長閣下。本のお返しですね」

「はい、この小説とても面白かったです。主人公の吸血鬼が姫様に誓いを立てるシーンは感動しましたね」

司書さんも笑顔で感想を述べる。

「実はあのシーンはミスレイア陛下の御先祖様の実話なんですよ」

「えっ!じゃああの後は……」

「そうなんですよ!種族を超えた愛って良いですよね。あ、無駄話を失礼しました。ここにサインを」

綺麗にサインを書いて、渡すと一つ質問される。

「苗字が無いのですか?」

「そうなんだよね。移民だし、祖国でも農民だったから」

司書さんは考え込むと「陛下から苗字を賜ってもらうのはどうですか?」と言われ、一瞬ドキッとしながらもそんな夢みたいな話がある訳ない。

「え?レイヴァス……苗字が無いの……?」

久しぶりに聞いた、その声の主は紛うことなき女王陛下だった。

「陛下、はい。ございませんよ。自分にいた共和国では農民が苗字を持つことを禁止されてましたから」

「じゃ、じゃあ私がアルスヴァーンの名を与えるとなったら……嬉しい?」

「陛下、それは主従関係が曖昧になりかねません。お気持ち大変痛み入ります」

「そう……」

陛下の残念そうな表情を見たが、侍従長として受け入れてはいけない。そのまま侍従本部に着き、陛下が最近購入した本の決済をしてた時も、軍務省との来年度軍事予算調整の時も陛下の優しい言葉が頭から離れることはなかった。


今晩は一旦これくらいにしておきます!今宵も読んでくださり、感謝します!それにしてもこういう王族の使う剣っていくらくらいが相場かイマイチ自分は知りません…作品だからこそ好きなようにできますがリアリティを追求してみてもいいかもしれませんね。

それでは良い夜をお過ごしください!お疲れ様です!

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