今日も吉田さんは手厳しい２

作者：桜牡丹

吉田さんは手厳しいの続きとなります。

夕方のオフィス、時計の針が17時を指すと、吉田さんはさっとデスクを片付け、カバンを持ち上げた。「定時がモットーなので、これが私のポリシーです。」と、口元に微笑みを浮かべながら、周囲に宣言する。

　同僚たちは、定時になると吉田さんの後ろ姿を見送りながら、感心の声を上げる。「吉田さん、さすがですね！」「ほんと、毎日定時で帰るのは尊敬します。」

　吉田さんは「ありがとう、でも私のモットーですから。」とさらりと返し、エレベーターへと向かう。その姿は、どこか誇らしげで、決して妥協しない強い意志を感じさせる。

　帰宅する途中、吉田さんは飲み会の準備をしていた同期の立川さんに偶然会った。「凛、お疲れ様！今日の飲み会、来れそう？」

「うん、行く。」と吉田さんは、少しだけ照れくさそうに答えた。「今日は同期の女子だけだって言ってたから、参加しようと思って。」

　立川さんは笑顔で、「そっか！楽しみだね。先、会場で待ってるね。」と応援の言葉をかけた。

　飲み会の会場は、オフィスから歩いて10分ほどのところにある、アットホームな雰囲気の居酒屋だった。吉田さんが到着すると、すでに同期の女性たちが集まって賑やかに話していた。吉田さんは少し緊張しながらも、笑顔を作りながら席に着いた。

「凛、待ってたよ～！こっちこっち！」と、幹事の立川さんが明るく迎えてくれる。

「遅れてすみません。」と吉田さんは軽く頭を下げ、席に着いた。

　料理が次々と運ばれ、ビールが注がれると、吉田さんも自然に会話に溶け込んでいった。「これ、美味しいですね。」と吉田さんは料理を褒めながら、みんなと楽しく話す姿が見られた。

「吉田さん、普段は厳しいけど、こういう時の吉田さんはすごくリラックスしてますね！」と同期の一人が言った。

「ええ、たまにはいいですね。普段はあまりこういう機会もないので。」と吉田さんは微笑みながら答えた。

　会話が進むにつれて、吉田さんのツンデレな一面が徐々に解放され、彼女の可愛らしい表情や、時折見せる素直な笑顔が、同期の女性たちを和ませていた。特に立川さんが彼女に優しく話しかけ、吉田さんも自然に心を開いていく様子が見られた。

「凛、今日は楽しい？」と立川さんが声をかけた。

「ええ、楽しいですね。」とサエコは微笑みながら答えた。「みんなと一緒にいると、こういう時間も悪くないですね。」

　飲み会の終盤には、カラオケが始まり、吉田さんも少しだけ参加することに。「私、歌は得意じゃないけど、盛り上げるために歌ってみるわ。」と、少し自信なさげにマイクを持った。

　吉田さんが歌い始めると、みんなの拍手や応援が飛び交い、吉田さんも楽しそうに歌い終わった。「これ、ちょっと楽しかったわ。」と笑顔を見せながら言った。

　飲み会が終わり、吉田さんは帰り道に歩きながら、心が軽くなったことに気づいた。「今日はなかなかいい日だったわ。」とつぶやきながら、夜空を見上げた。

　翌朝、吉田さんは早めに起き、定時に向けて準備を整えた。定時退社がモットーである彼女にとって、仕事を早く終わらせることもまた大切な使命だ。今日もまた、彼女はそのポリシーを貫くために、張り切って仕事に臨むのだった。