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1話「変わらない日々」

みんな夢を見る。

人間は夢を見る。

もちろん猫や犬も夢を見る。

どんな夢?

『願いが全て叶う夢』『絶望に突き落とされる夢』


みんな罪を知る。

人間は罪を知る。

どうやって?

『習う』『目撃する』『罪を犯す』


もし、その罪が冤罪なら?

もし、その夢が現実なら?

人間は、どうなってしまうんだ?


───『·········マ』


もし、その罪が晴れなかったら?

もし、その夢が二度と覚めるものでなかったら?

人間は、どうなってしまう?


───『······ウマ…』


なんだ、さっきから語りかけてくるのは?女の声?


───『···ュウマ…!』


うるさい、やめてくれ…


───『リュウマ…!』


うるさいうるさいうるさいうるさいッ!!



「竜磨!!」

「いてッ」


頭に何か固いもので叩かれた感じがある。

音的に、紙でできたものだ。

俺はそこまで考えたあと直ぐに、まだ霞んで見える目を凝らし、それが教科書であることを確認した。俺は頭に手を当てる。


「ここは…?」


小さい声でそういったのは俺だ。無意識だった。


「何言ってんだ?お前。

 まだ寝ぼけてんじゃないだろうな?」


笑う声が耳を貫く。俺のクラスの生徒たちだ。

俺は、ここが教室であると理解した。


「すみません、」


「もう寝るなよ?」


「ハイ……」


怒られた。学校で寝るのはいつぶりだろうか。

ここは俺の通っている学校「永福高等学校エイフコウトウガッコウ」だ。


「え〜、じゃあ続きを…」


俺に来ないで欲しい。


「鈴木、読め〜」


「ハイ!」


幸い俺じゃなった。運が良かった。


「なぁ、おい」


小声で話しかけてきたのは俺の友達の「夏田ナツダ ヒカル」だ。

高校入学の時に気が合い、自然と友達になった。少しヤンチャだが、今となっては親友と言ってもいいくらいに仲がいい。


輝は俺の前の席で、わざわざ振り向いてまで話しかけてきた。


「なんで寝てたんだ?」


それはこっちが聞きたいくらいだ。


「さぁ?」


俺は適当に答える。


「どうせお前あれだろ。toktikで夜遅くまで可愛い姉ちゃんでも探してたんだろ?」


toktikって言うのは、最近流行っている動画配信のできるアプリだ。誰でも気軽に10秒〜30秒程度の動画をアップできるのが売りらしい。


「そんなことするのはお前くらいだぞ」


「なっ、」


何も言い返せないらしい。自覚があるのか。


「いいから、授業に集中しろって」


俺が切り出す


「寝てたやつに言われてもな〜?」


「お前なぁ、」


「竜磨、昼寝の次はお喋りか?」


まずい、先生にバレた。自分の席は端にあるのでバレないと思ったが。


「すみません、」


「後で職員室な。」


「はぁい、」


最悪だ。学生が学校内で行きたくないランキング1位2位を争う場所。『職員室』に呼ばれた。

俺は「恨むぜお前」とでも言うように輝を睨んだ。


─────※※※※※─────


「失礼しました…」


説教を終えた俺は職員室から出て、さっさと家に帰ろうと自分の教室へ戻ろうとした。


「お、やっとでてきた」


職員室の扉を出て、少し歩いたところに輝がいた。


「輝。待ってたのか」


「あったりめーだろ!」


友人の心遣いに、さっきまでの説教の疲れが吹き飛んだ。


「お前と一緒に帰んないで、誰が俺のジュース奢るんだ?」


友人のどうしようもない一言に、さっきまでの説教の疲れにまた別の疲労が足された。


俺はため息をつく。


「どちらかと言うと、貸しがあるのはお前だろ?」


廊下を歩きながら俺たちは話す。


「なんでだよ」


「3限目、なんで怒られたんだっけな〜?」


「お前の昼n...」


「残念そっちじゃない」


「なっ、」


コツコツと石でできた廊下をふたつの足音が響き渡る。この様子だと、みんな帰ったようだ。


「な、しりとりしようぜ?」


輝が提案する。


「なんでそうなるんだよ」


「したいから?」


「俺はヤダよ」


悪いと思いながらもキッパリと断る。


「·······ちぇ、」


少し間が空いて、舌打ちが右から聞こえた。


─────※※※※※─────


教室に到着した俺らはバッグを取り、階段を降りて昇降口へと向かう

昇降口へ着くと、人が3人。俺の靴箱の前に陣取っていた。


「お!来た来た!」


「待ってたよ! 」


「遅せぇよ、竜磨〜」


喋った順に

夢月ムツキ 莉杏リアン」女

鈴木スズキ マイ」女

尾野オノ 永月ナガツキ」男


みんな、俺の大切な友達だ。


「待ってたのか」


俺が笑顔でみんなに言う


「当たり前だろ〜!友達なんだから!」


永月がそう言う。


「優しいね〜!誰かさんとは違って。」


俺はそう嫌味っぽく言い、輝の方を見た。


「さてはなんかあったでしょ?」


「な、なんもねぇよ?」


莉杏の問いかけに焦って輝が返す。


「そう?ならはよ帰ろ〜。」


莉杏は早く帰りたいらしい。それを理解して俺は、靴をなるべく早く履き替える。


皆と楽しく喋ったりしながら下校する。

駅に入り、

電車に乗り、

電車を出て駅を出る。


少し歩いて、分かれ道。それぞれが違う方向へと進む。

皆、あの先にそれぞれの家があるのだ。


そして俺は少し歩いた先のとあるマンションに着く。このマンションに俺と親で住んでいる。


家は5階にある。5階を目指して階段を歩く。このマンションにはエレベーターはあるが、今は故障中らしい。


「504」という書かれたプレートが夕焼けに光り輝いている。それを見たあと、俺はドアを開ける。


「おかえり、りゅーちゃん。」


母の声はキッチンから聞こえてきた。

そして俺はこう思う。



何も変わらない平和な日々だ。と

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