持たざる者、スラムに立つ
対よろ
オレ、南方龍馬は何処にでもいる一般的な男子高校生で特別とは縁のない平凡を地で行くピチピチの17歳なのだが
気が付いたら貧困と困窮を寄せ集めた掃き溜めの様な、有り体に言えば治安がとてつもなく悪そうな場所に、着の身着のままで放り出されていた
そう、気付いたらだ
今頃流行りの転生トラックとか、神のミス死とか、そんな現象を挟まず、起きて歯を磨いて朝飯を食べて家を出て、気付けば此処だ
何が起きたか実感する余地もなく、目先の現実だけがオレを平凡から連れ去ってしまった
そう、こんな現実逃避をするぐらいなら現状の確認を行うべきだと、オレの平凡頭脳は命令を出しているのだが身体は鉄のように硬く動かない
それから命令を身体が受け取るまでに数分かかった
此処はオレの知る世界では無いという可能性の方が高い以上、現状の確認を行わなければならない
ざっと辺りを見渡すと先程までは特に感じなかった、異臭や建物の老廃、汚れの具合、うずくまって動かない人の様な存在などが目に付いた
ここは、、、おおよそ貧民街でスラムと言っても過言では無いだろう
異世界と確定している訳じゃないけど、こういうスタートをする場合の作品は、大抵ハードモードで救いが無いっておきまりじゃないのだろうか?
現状の確認から2時間、オレは何も出来ていなかった
というより何をしたらいいのかすら分かっていなかった
そして1つ、時間を無作為に消費していた際に気付いてしまったのだが、オレの身体は多分なのだが縮んでしまっていた
あまりにも周りの空間が違和感だらけだったからか、現状の確認を行った際に周りの建物を見ても、少し大きいなと思っただけで疑問にはならなかったのだが、うずくまってる人のサイズと建物の立体感、そして目線の位置、これらからオレの身体は縮んでいるのでは無いかと思った
そう、思っただ、先に多分とつけた様に、確認が取れない以上は想像でしか無いのだが140センチにも届いてないのではなかろうか
これはキツい、明らかにキツい、正直、殺しに来ているとすら思っている
気付けば異世界で(多分)気付けば背が縮んで(多分)
おそらくハードモードで(多分)チートも無い(多分)
結局の所、どうしろって言うんだろうか今はまだ夢だと思って覚めるのを待つしか無いのだろうか
眠りについていた訳ではないと分かっていても
対あり