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もう1人の私
女性なら誰しも思う、悩みや惑いをどう生きていくのか。特殊な感覚を持ち合わせてしまった主人公に誰もがみんな共感する
夜の月を見ていた。
夜景が見える山奥で、他に光はなく
真っ暗な闇の中
月明かりだけで、青白く私の肌も光っていた
上を見上げると、
山の間にぽっかり月が浮かんでいて
この世には月明かりしかないみたいに
しんとした静まり返った夜の空気と、
月の光に包まれた私と
そこにはそれだけしか存在してなくて
ああ、私は。
いつまでこの時代にいなければならないんだろう。
この時代は私には合わない
月に帰りたい
そう初めて泣いたのは5歳の頃だった。
私は普通には生きられない。
ただ、当たり前の毎日が欲しかったのに。