第0話 光と闇の勇者
ここは有数の冒険者達が集う都市、【エランテリア】
その中で、一際目立つ二人の冒険者がいた。
「ユーリ〜今日はどんなクエストを受けるの??」
「そーだな、このクエストなんかどうだ?」
二人は一つの依頼書を手に取り受付へ向かう。
「おい…あの二人が受けるクエストって確か…」
「今まで誰もクリアできねえで放置されてた危険度Sのやつじゃ…」
「しかもたった二人であれを受けるのか…?頭大丈夫かよ…」
周りのガヤなど気にも止めず、二人は受付嬢へと依頼書を手渡す。
受付嬢は渋い顔をしながら二人へと問いかける。
「…お二人とも冒険者カードを拝見してもよろしいでしょうか?」
それは受付嬢としては至極当たり前の問いかけであり、冒険者カードの提示などはさしたる問題もない。
それに対し、二人は
「え、わざわざ見せないといけないんですか!?面倒くさいな〜」
「リーシェ、そんなに言わなくても見せるくらい構わないだろ?まあ確かに少し面倒だけど」
と、リーシェと呼ばれた少女は不満をありありと見せ、先程ユーリと呼ばれた青年も、リーシェを窘めつつも不満を見せていた。
「「はい、これが俺(私)達の冒険者カードです」」
二人が受付嬢へと冒険者カードを手渡す。すると、
「……!!!!大変申し訳ありませんでした…!!まさかお二人があの光と闇の勇者様だとは思わず…!!」
と、先ほどとは打って変わって土下座でもしそうな勢いで謝り始めた。
「いいよいいよそういうの。俺達そんなすごくないし。」
「そーだよそーだよ!受付のお姉さんも別に謝らなくていいよ??」
と、二人は謝る受付嬢へさらりと言葉を告げる。
周りの冒険者達も
「おいまじかよ…!!まさかあの二人が噂の光と闇の勇者だってのか!?」
「若い男女の二人パーティとは聞いていたが、まさかここに来ているだなんて…!」
「にしても噂ではもう少し年食ってる感じだったぞ!?ありゃいくらなんでも若すぎるだろ!」
と、驚きを隠せない様子で興奮する。
「…毎回、こんな場面も飽きてきたな。なぁリーシェ?」
「んー、私は別に気にならないし、むしろもっと驚けーって感じ?」
当の本人達はさしてこの状況に驚いたりすることもなく淡々と会話している。
「んで、受付の姉ちゃん、俺達このクエスト受けていいの?」
「はい!勿論です!お二方ならこのクエストは任せられます!どうか、よろしくお願いします!」
「そんじゃ、リーシェ、行くか。」
「はーい!今日も頑張ろうね!ユーリ!」
これは、光と闇の勇者と呼ばれる、若くして最強の名を手に入れた二人の勇者の物語である。
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