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第11戦 VSマッドゴーレム



 昼の太陽が、夏の暑さを生み出していた頃。

「どうしよう……」

 半袖姿の魔法使いの少女、プレゼンが家の中で頭を抱えていた。

「……お金が無い」


 ここはセンターナ王国にある辺境の村フィーラ。

 その外れに五つの建物があった。


 人間達の住む村より少し外れたその場所には、村人達とは違う者達が住んでいた。

 五つの建物はそれぞれ、バーバリアンのバイオン、魔女のラフター、ドワーフの兄弟のガラールとフィアラル、そして彼らの鍛冶場があった。

 そして最近、そこにさらに少女プレゼンのの為の家が建てられた。


 バイオンとラフターの家と鍛冶屋はラフターが魔法で作った建物である。

 そしてドワーフ兄弟とプレゼンの家は、ドワーフが作った物だった。

 ちなみにドワーフがプレゼンの家を作った理由は、時間に暇が出来たからである。


 家の他にも、側にどこに通じているのかわからない常に水を満たしいる井戸。

 ドワーフが作った、野外の食事用の調理場。

 それとラフターが魔法で生み出した、大きな鏡とワープ魔法用の魔法陣がある。


 バイオンの家は部屋が一つだけのシンプルな作りで、床に寝る主人にはそれ以外は必要なかった。

 ラフターの家は誰も入ったことが無く。あるはずの窓からは、内側が漆黒に見える。

 ドワーフ兄弟の家には設計図やいろんな大工道具が置いてある。様々な荷物で雑多ではあるが整理はされていた。

 そしてプレゼンの家には、たくさんの小物が置いてあった。足の踏み場もないほど荒れていたが、本人としては片付いているつもりである。



 プレゼンは現在、金欠だった。

 飲食が不要であり、さらに魔法で金貨すら生み出すラフターに金欠という言葉は無い。

 ドワーフ兄弟は最近、村の人から鍛冶を頼まれるようになり金を稼いでいる。

 バイオンは食事は森に狩りに行けばいいし、欲しい物は特にない。

 プレゼンだけがお金に困っていた。


「たぶん皆に頼めばご飯とかは貰えるだろうし、お金も貸してもらえるだろうけど」

 赤い目と赤い髪の、小さな女の子は椅子に仰け反りながら考える。

「それは最後の手段。できる限り自力でやらないと」


 プレゼンには仲間意識があった。

 師匠である魔女や、ドワーフ、さらにはバーバリアンがプレゼン自身をどう思っているのかはわからない。

 それでもプレゼンからすれば助け合うべき仲間だった。

 一方的に助けられる関係など、彼女は御免だったのである。

「何とかお金を稼ぐ手段を作らないと」

 少女は初めての自活に悩んでいた。


 ふと窓の外を見ると、鍛冶場では男三人が揉めていた。

「――だから、剣なんていらねえって言ってんだろうがぁ!!」

「いやいや剣は素晴らしい武器なんだよ! その万能性は他の武器には無い利点だって!」

「槍より短くて、斧より破壊力が無くて、ナイフより取り回しが利かねえじゃねえか!?」

「だが槍の様に突き払う事も、斧の様に叩く事も、そしてナイフの万能性にリーチを得た有益な武器だって! サブウェポンとしてこれ以上のものはないんだよ!」

「剣は技あっての物だろう! 俺の頭でそんなゴチャゴチャした行為が出来るか!?」

「それは一理ある!」

「ぶん殴るぞ!?」


 二メートルはある大男と、髭を生やした背の低い二人の男が、剣の有用性で言い合いをしていた。

 プレゼンはそれを遠目に、いつもの赤い魔法使いのローブと三角帽子を着込む。

 それはよく見れば、いくつも下手な修繕の跡があった。彼女自身で直した物である。





 フィーラ村の村長の家にプレゼンは訪れた。

「なにかこの村で、入用の物はないかとの事ですか?」

「うん」

 小さな少女は髭の老人に対して、仕事になりそうな事のヒントを聞きに来たのだった。

「う~む、足りないと言えば何もかも足りませんし、足りていると言えば生活は出来ている物ですし……」

「これが必要って物は無いのですか? 出来れば仕事にできそうなものがいいけれど?」

「ラフター様のように何かを生み出して、売ればいいのでは?」

「いや、あんな高等な魔法は無理です。私が生み出した物は消えます」


 本来、魔法使いが魔力を込めて生み出した物は時間が経てば消えるのであった。

 例えばプレゼンが放った火は、物を燃やして火を起こし焚火は作れるが、最初に放った火自体は消えるのである。

(というか、私が学んだ魔法って、そういうものなんだけど)

 何かを作るにしても、素材が必要なのがプレゼンが知っている魔法だった。

 ラフターは魔力を素材に家を作り、その後は維持の為に魔力を込める必要も無く、実体として世界に存在していた。

 プレゼンの魔法でも、プレゼンが通っていた魔法学校でも、そんな事が出来る魔法使いはいなかった。

(村の人に聞いた話だとお師匠は、元女神なんだよねえ。そりゃあ人間とは違うは)

 赤い帽子を揺らしながらプレゼンは、改めて自分の師匠の凄さを実感していた。


「たとえば魔法道具屋などはどうですかな?」

「うん?」

「首都で見かけた事があり、中に入ったのですが、どれも高価なものばかりで私では購入できない物でした。それを作って売れば仕事になるのでは?」

「う~ん」

 素材をもとに作り出したマジックアイテムは基本的に高価な物が多かった。

 理由としては、大量生産が効かないからである。

 作成者は魔法を使える者であり、素材として大抵は貴重な物が必要だったからである。

 店の主人は高値を付けても、買う者は買う。それが魔法道具だった。

「……ごめんなさい、私には無理です」

(だって、作った事無いもん)

「そうですか、それは残念ですな」

 その後の話でも進展はなく、プレゼンは村長に頭を下げて家を出たのだった。


 その後も、万事屋や宿屋にも顔をのぞかせたが、少女が求める情報は無かった。




(う~ん、もうしばらくは生活できるけど、本当にどうしようか……?)

 太陽も傾き始めた頃、得る物の無かったプレゼンはとぼとぼと家へと戻っていた。

 歩きながら少女は、自分の手にある箒を見る。

(魔力を込めれば空中に浮く魔法の箒、お母さんから貰った魔法道具だけど、私もこんな作る事ができればなあ)

 長い長いため息をつきながら、赤い少女は家の近くまで来た。


「げっ!?」

 それを見た瞬間、少女の口から思わず声が出てしまった。



 プレゼンの家の前に身長四メートルほどの、大きな泥の巨人が立っていたのである。

「やばい!?」

 プレゼンは周り右して、村へと逃げようとする。

 だが途端に少女の足が動かなくなった。


「どうして逃げるのですか? プレゼン?」

 優しげな声がプレゼンに問いかける。

 プレゼンの意志とは正反対に、その少女の体は声をかけた魔法使いの恰好の女性の方を向いた。

「……ま、マリオネ先生?」

「ええ、お久しぶりですね。我が不詳の生徒プレゼン」

 優しげな顔の、青い長髪の女性はプレゼンに微笑んむ。

「お~、やっとみつけたぁ、我が友プレゼン。二ヵ月ぶりぐらいかなぁ?」

 その後ろから、もう一人、プレゼンと同じ年齢くらいの少女が現れた。

「く、クラフ?」

「あっははぁ、プレゼン久しぶりぃ、元気してた?」

 クラフと呼ばれた緑色の髪の少女は、笑顔でプレゼンに近づく。

 だがその目は笑っていなかった。

「それでね~、プレゼン? 実はちょっと聞きたい事があるんだけどぉ?」

「な、なに、かな??」

 動かない体で汗を多量に掻きながら、プレゼンは返事をする。

「二ヵ月前に魔法学校の宿舎で、部屋を私ごとふっ飛ばした犯人を知らないかな~?」

 アップになるクラフの笑顔に、プレゼンは目を逸らす。

「さ、さあ、誰かしら、それ?」


 クラフは帽子の上から、プレゼンの頭をアイアンクローした。

 夕日の中、赤い少女の悲鳴が木霊した。






「本当に今まで、申し訳ありませんでした」

 大人の女性はドワーフの兄弟とラフターに対して、深く頭を下げた。

 ドワーフの兄弟は困惑し、その横に立つ漆黒の魔女は眠たげな目でその姿を見ていた。

「我が国の生徒が押しかけ、今までお世話になっていた事、そして迷惑をかけていた事を心からお詫び申し上げます」

「いや、別に迷惑だなんて」

「短い間だったが、楽しかったぜ?」

 ドワーフのガラールとフィアラルは首を振って、プレゼンの存在を肯定する。

 ラフターは無言だった。

「……彼女は未だ我が魔法学校の生徒の身です。彼女の問題は、それを野放しにした我らに責任があります」


 青い髪の女はゴーレムを見上げる。

 その右肩には、クラフという名前の緑の魔法使いの少女。

 そして左肩には、プレゼンが見えない糸で縛り上げられたうえにゴーレムの手でつかまれている。


 視線を戻し、マリオネという名の女性はラフター達を見た。

「これでも我らは魔法使いの端くれです。何か補償すべき物があれば申しつけください」

 詫びるマリオネに、困った顔のドワーフの兄弟がラフターを見上げた。

 プレゼンも助けを求める目で、漆黒の魔女を見ていた。


 ラフターは少しだけ微笑し、マリオネに返事をした。

「いえ、特にありません。……むしろ我らの方が謝るべきです。未だに学校に通う学徒の身の少女を、親に連絡も無しに家に住まわせるなど」

 「ししょう~」と閉じられた口で叫びながら、プレゼンはラフターを見る。

 ラフターはそれを無視してマリオネに答えた。

「罪はこちらにあるというのに、何かを求めるのは間違いです。もし望むことがあるのであれば、彼女プレゼンにしっかりと教育を施してやってください」

「はい、それはもう」

 マリオネは笑顔でラフターに頷いた。


「では我らはこれで」

「ええ、さようなら」

「嬢ちゃん、達者でな!」

「今まで楽しかったぜ。またいつか会おうな!」

「バイバーイ!」

「んんっ、んーっ!!?」


 頭を下げて行くマリオネ。ゴーレムの肩に乗るクラフはラフター達に手を振る。

 ドワーフの兄弟も手を振って返す。ラフターは眠たげな顔のままだった。



 背中を向けて歩き出すゴーレム。

 大きな泥の人形は、音を立てながら地面を歩く。

 それに着いて行き帰ろうとしていたマリオネだったが、ふと立ち止まり、その青い髪を揺らして振り返った。

「そういえばラフターさん、貴方も魔法使いの様ですが、どのような魔法を?」

 ラフターが何か言う前に、ドワーフ兄弟が得意気に答えた。

「そりゃなんでも生み出すぜ、家だろうが金貨だろうが」

「なんせ元めが」


 唐突にドワーフの兄弟は動きを止め、そして喋りだした。

「いや、なんでもないな」

「じゃあな、マリオネさん」

 兄弟は髭を揺らし、無表情でマリオネに答えた。

 

 ドワーフの兄弟の変哲の無い言葉。

 人形を操る魔法使いのマリオネだけが、二人のドワーフに魔法がかけられた事に気づいた。


「クラフ、止まりなさい」

 マリオネが魔法を唱え、ゴーレムに手を伸ばした。

 見えない糸がゴーレムの動きを止め、クラフを引っ張っる。

 クラフはゴーレムにかけた魔法を止め、振り返る。

「どうしたんですか? マリオネ先生?」

「クラフ、私は彼女と話があります。しばらく待っててください」

「はあ?」



 マリオネはラフターの側まで歩み寄り、目の前で立ち止まる。

 真剣な目の魔法学校の先生を、漆黒の魔女は眠い目で見返した。

「ラフターさん、聞きたい事があります」

「なんでしょうか?」


 穏やかだが、偽りは許さないと言う口調で、マリオネはラフターに問うた。

「貴女は女神ですか?」

「違います」


「この世界に起きている異変がわかりますか?」

「わかりません」

「なぜ守護神達は動かないのですか?」

「わかりません」

「魔族とは、魔王とは何なんですか?」

「知りません」

「モンスターが増えた理由は?」

「わかりません」

「私の国の隣国が攻めてきています、その理由は?」

「知りません」

「どうやったら、戦争を止められます?」

「わかりません」

「どうすれば平和にしてくれるのです?」

「さあ?」


「……なぜ嘘を吐くのですか?」

「なぜ真実を答えねばならないのですか?」


 今までの穏やかさとは違い、鋭く睨みつけるマリオネ。

 表情を崩さず、淡々と答えるラフター。


「どうしたら、本当の事を言ってくれるのですか!?」

 怒りを込めたその声には、戦いすら厭わないといった表情のマリオネがいた。

 ラフターは呆れた顔になり、遠くに声をかけた。

「バイオン」

「なんだ?」

 我関せずと、遠く離れた場所でバーバリアンの男は鉄斧を素振りしていた。

 突然に呼ばれて、厳つい顔のバイオンはラフター達の下へと近づく。


「マリオネさん、勝負をしましょうか?」

「え?」

 先ほどまでの無表情とは違い、薄目のままだが、黒き魔女は意地悪そうな顔をする。

「あそこにいる大男と、そこのゴーレムで勝負しましょう。ゴーレムが勝てば、いくらか答えますよ?」


 マリオネはその提案を受け入れた。






 陽が落ち、篝火が家の近くで燃やされる。

 いくつかの炎が並び、家の正面を照らしていた。


 そして照らされるのは二人の大男。

 一人は右腕に鎖を巻き、鎖を柄に着けた鉄斧を左手に持つ二メートルの半裸の巨漢。

 対峙するは四メートルの泥の巨人。


 その二人の戦いをラフターと、正気に戻ったドワーフ兄弟、そして魔法学校の教師クリオネと、その生徒であるクラフとプレゼンが見守る。


 ゴーレムを作り使役しているクラフは、教師であるマリオネを見た。

「いいのですか?」

「殺さなければ」

「……わかりました」

 真剣な顔のマリオネに、クラフは真面目に戦う事にした。




「では始めてください!」

 マリオネの言葉と共に、バイオンの投げた鉄斧が、ゴーレムの右足関節を砕いた。

 その部分から崩れて、泥の巨人は地面に倒れた。

「……なんでえ、脆いじゃねえか?」


 地面に倒れ伏した泥の人形。

 だがその状態のまま、泥の左手をバイオンに向けた。

 左手の指から、泥の弾丸がいくつも放たれた。


「なっ!?」

 咄嗟に横に飛びのいたバイオンだったが、避けきれない。

 人間の頭ほどの大きさの弾丸、その一つがバイオンの腹にぶつかった。

「ぐほぉっ!?」

 衝撃に胃液を吐き、地面を転がるバイオン。


 すぐに立ちあがるバイオン、その鋭い目を見開いた。

「なに?」

 泥が集まり、ゴーレムの右足が再生していく。

 そして四メートルの巨人はまたも立ちあがった。



「バイオンさん!」

 マリオネの魔法から解放されていたプレゼンが、大声を出す。

「ゴーレムは基本、魔力がある限り無敵です! ですがゴーレムのどこかに核となる心臓の魔法石があります! それを破壊すれば倒れます!」

「プ~レ~ゼ~ン~、おまえ、裏切るのかぁ?」

「ぎゃあああ! クラフ! アイアンクローは止めてぇ!!?」

 悲鳴を上げる少女を無視して、バイオンはゴーレムを見上げる。

「どこかに核が、頭か胴体あたりか?」


 泥のゴーレムは両手をバイオンに向け、その指十本から泥の銃弾を放ち続ける。

 次々と地面に着弾し、地面をえぐる泥の塊。

 バイオンは、右手の鎖と左手の鉄斧を盾に、左右に避けつつゴーレムに近づいた。

「とりあえず、手当たり次第破壊するか」

 ゴーレムの左足を、バイオンは斧で叩き破壊する。


 ドワーフの兄弟が歓声を上げる。

 それを見ていたクラフは、ゴーレムに対して魔法で命令した。

「崩れろ!」


 崩壊し地面にバラバラに降り注ぐ、泥の雨。

 突然のゴーレムの自爆に、足元にいたバイオンは避けられない。


「うおおお!?」

 大男の全身を泥の弾丸が打ち付ける。

 その威力にバイオンは地面に倒れ伏した。


「ああ!?」

「バイオン!?」

 驚くドワーフの兄弟。

 さらに続けてクラフは魔法の命令を行う。

「捕縛しろ!」


 一面泥だらけになった場所。

 鉄斧を落としたバイオンが、泥の中から立ち上がろうとする。

 だが体にまとわりついた泥が、その動きを封じる。

「なにぃ!?」

 さらに泥はバイオンを中心にどんどん集まって行く。

 それらは全てがバイオンへと加重をかけていった。

 そして、バイオンを中心に大きな泥の塊へと変わったのだった。



「……もういいでしょう、これ以上は窒息してしまいます」

 無表情で、戦いを見ていたマリオネは横を見る。

「こちらの勝利でよろしいですか、ラフター様?」


 その言葉に薄目のまま無表情のラフター。

 しかしすぐに口を開き、噴き出した。



 泥の塊にヒビが入る。

「く、そ、がぁ!!」

 そしてその塊を粉砕しながら、バイオンが夜空へと躍り出た。

「なめんなぁあああっ!!」

 さらに右手には目ざとく見つけた、バイオンの手の平よりは小さな茶色の魔法石が握られていた。

 地面に着地すると同時に、バイオンはそれを左手で叩き潰した。

 砕けた泥は地面へと流れ、ゴーレムの形には戻れなくなったのだった。






 どこからか酒を取り出し、騒ぐドワーフの兄弟。

 泥を体から払いながら、バイオンは井戸へと歩いて行った。


 マリオネはラフターに向かい合う。

「ラフター様」

「なんですか?」

「我らが国マイラドは、ここより北イスットのさらに北にあります」

 自らの気持ちを抑え、マリオネは微笑を見せる。

「何かあればお尋ねください」

「ええ、ご厚意感謝します」

 眠たげなラフターは、適当に答えた。


「プレゼン」

「は、はい!」

 笑顔で話しかけるマリオネに、プレゼンは直立姿勢になる。

「あなたはここにいなさい」

「え?」

「……ラフター様との縁、切るわけにはいきません。これは重要な仕事です。よろしいですね?」

 真面目な声でマリオネはプレゼンに頼む。

「わかりました」

 プレゼンもまっすぐにマリオネを見上げて、答えた。

「それと」

 マリオネは最後に心配そうに言った。

「学校長が心配しております。あなたは孫なのですから、手紙ぐらい送りなさい」

「……わかりました」




 立ち去るマリオネとクラフ。

 クラフとプレゼンは、互いに手を振りあった。

 そんな光景をラフターは眠たげな顔で見ていた。


 教師と学友が立ち去った後、赤い少女は黒き魔女に振り向き尋ねた。

「ラフター師匠。魔法道具作成の本とかありますか? 私、魔法道具屋を開こうかなと思いまして」



バイオンはゴーレムに核がある事を覚えた!


ゴーレム:ユダヤ教に出てくる作った者の命令で動く泥人形。儀式などが必要で制約も多く、刻まなければならない文字も多い。額に貼られた紙にemeth(真理)と書かれており、その一文字目を消してmeth(死)に変えると壊れる。

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