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警視庁特殊犯罪対策室  作者: 伊野 暁悠
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保健室の件

「失礼します。」

敦と一緒に入った部屋に保険の先生が座っていた。


「あれ?佐々木さんじゃん。初めまして。小野です。」

「初めまして。佐々木です。」

敦は小野先生に事情を説明していた。


「そうなんだね~。うんうん。わかった。安田先生にはそう伝えてくるから小久保先生と待っててね~。」


敦と二人きりで保健室に残された。


「学校が嫌い嫌い行ってた割にはちゃんと教室にいたじゃないか。しかも質問攻めにも耐えてたようだし。というか、何だあの質問。」

「どんな質問?」

「好きなタイプって・・・、しかも答え方も問題だろ。僕って・・・。本当か?」

その場しのぎの答えなのに信憑性を求めてもらっちゃ困る・・・。

「その場しのぎに信憑性とかいるのか?」

敦はでっかい溜息を吐いた。


「失礼しまーす・・・。あぁ小久保先生、とそっちは誰?」


保健室に入ってきた男子生徒。

私と敦を交互に見て、敦に私は誰だと問うた。

「今日編入してきた優だよ。あれ?知らなかったっけ?同じクラスじゃないの?和田。」


和田っていうのか・・・。この人。

「初めまして・・・。和田頼定です。よろしく。優。」

「こちらこそ・・・。よろしく。頼定。」

握手だけした。

敦は笑いを必死にこらえながら私たちの様子を見守っていた。

「何笑ってんの。敦。」

「え?いやぁ、仲良さげな雰囲気だなぁと思って。」

「ん?今何て?」

「だから、仲良さげな雰囲気・・・」

私は敦が言い終わらないうちに敦を床に押し倒した。

頼定は吃驚していた。

敦は、「やっちまった」という顔。

椅子がこけたがそんな事は関係ない。

「昨日言った筈だけど?仲良さげとか使うなって。書いてあったはずだけど?読んでなかったの?ねぇ。敦、読んでなかったの?」

「ちょ、優!何してんだ。さっさと小久保先生から離れろ。何かあった時、言われるのは優じゃなくて小久保先生なんだぞ。」

頼定がすかさず止めにきた。しかし、頼定を止めたのは敦だった。

「これは俺たちの問題だ。部外者は入って来るな。優、これは家で解決した方がいいんじゃないのか?」

敦に諫められたが、私の怒りはそれでは収まらない。

「家で解決できるならもうやってるだろ。これは解決できない。一生向き合っていくやつだ。っていうか、ここで「家」発言してもよかったのか?バレたぞ。今ので。確実に。生徒に。」

オッサンに口止めされていたことが一つだけあった。

それは、敦と私が一緒に住んでる事を生徒に知られてはいけない事だった。

先生たちは知っておかなくちゃいけないことだが、深入りは禁物だ。

深入りされたら私は先生たちを殺しに行くだろう。

それくらいタブーな事だった。

だが、今ここで敦が私と一緒に住んでます発言をしたおかげで、生徒にバレてしまった。オッサンが危惧していたことだ。

頼定を見ると、衝撃の事実に開いた口がふさがらなかったらしい。

鯉のように開いた口をパクパクさせていた。

「降りてくれないか?小野先生がもうすぐ戻って来る・・・あ。」

敦の説得は無駄だった。

小野先生が私たちの様子を見てしまったからだ。(語弊があるがいたって健全なやりとりしかしてない)

「な、な、何をやってるの・・・?小久保先生と優ちゃん・・・。」

あらまぁ・・・。

「先生・・・、これはですね・・・。あの・・・。」

敦はしどろもどろ。

私は敦の上に乗っかったまま小野先生の方へ頭だけを向けた状態。

頼定は放心状態。

現場はカオスそのものだった。

「話はあとで聞くから、小久保先生と優ちゃんは、ベッドの方へ隠れてください。早く。」

小野先生に強く言われた敦は私を抱えて一番奥のベッドへ隠れた。

「頼定~大丈夫か~。おーいおーい。」

小野先生が放心状態の頼定を呼び戻そうと頑張っている声が聞こえた。

その間私は敦に抱えられながらべッドに乗っかっていた。


保健室のドアが開く音。

安田先生が入ってきた。

小野先生が「ちょっとトラブルが起こったので、頼定が放心状態なんですよ・・・。」と現状報告。

「佐々木さんは?何処に居ますか?」と安田先生が小野先生に私の居場所を聞いていた。

小野先生は私の居場所を話すことを渋ったようだが、それは無意味に終わった。

安田先生が私と敦がいるベッドに向って歩いてくる。

カーテンが空いた。

私と敦と安田先生の対面だった。

「な、な、な、な、何をしているの・・・。え?しかも、小久保先生!女子生徒に何をしてるんですか?佐々木さん、離れなさい!今すぐに。ほら早く・・・。」

安田先生が私の肩と左腕を掴んだ。

その瞬間、私の背中に悪寒が走った。

「安田先生、やめろ!その手を離せ・・・。」

敦が安田先生に注意を呼びかけたが、もう遅かった。


私は敦の上から安田先生の上に飛び移った。

安田先生は私が飛び移った時の衝撃でその場にこけた。

「佐々木さん・・・何をしていたのですか?教師と生徒で恋愛ができないのは普通でしょ?それを破ろうとしてたのですよね?だから隠蔽しようと私に飛び移ったんですよね?それはやめなさい。佐々木さん。こんなことをやってもあなたの恋は実らないわ。諦めなさい。今すぐに。さぁ・・・。」

安田先生は私を説得しようと試みた、だが、今の私の前でのその行為は自分から死に来たのと一緒の行為だった、それくらい私は怒っていた。

「安田先生、離れてください!」

敦が安田先生に向って叫ぶ。

安田先生は「この生徒がいかがわしい行為を行っていたのは解っています。それを諭すために先生は隠れていたのでしょ?そしたらそれは担任の私に引き継いでもいいではありませんか!」と勘違いを起こしている。

「優の資料が配られたのは知ってるでしょ!」

敦が安田に問いかける。

「えぇ・・・。知ってますよ、それが何だというのですか。この行為を見逃すわけにはいきません。私は生徒を正しい方へと導かなければ・・・。」

安田は尚も勘違いを起こしている。

「安田先生、優に殺されに行くおつもりですか・・・。それは仕方ありません。どうぞ。安らかにお眠りください。」

敦は安田の説得を諦めた。

その言葉の意味を理解できたのか、安田の顔はどんどん青くなっていった。

「い、今何て言いました?私が殺されに行く?何のことですか?私はただ、みだらな行為をした佐々木さんを諫めようと・・・。」

敦は私に言った。

「優・・・、安田先生を殺したらまた無期懲役が確定するぞ、それでもいいのか?」

私はこの怒りを抑えきれていなかった。

「こいつは自分から飛び込んで来た。周りの状況も確認せずに、先入観だけで。その行為がどれだけ危険かわからないからできた所業なんだろうな。私はこいつの身がどうなろうと知ったこっちゃない。部外者が簡単に入ってこれたんだ。殺される覚悟はできてるはずだ。だから飛び込んで来たんだろう・・・。違うのか?」

私は安田に質問した。

安田は勢いよく首を横に振っている。

「安田先生の勘違いだそれは。みだらな行為と勝手に決めつけられて、怒りを増幅させられたのが原因だ。まぁ・・・。その前に僕が怒らしたのが一番の元凶なんだけど。」

敦は私に語り掛け、こちらに歩み寄ってきた。

私は安田の首から刃物を離した。

「小久保先生・・・、助けてくださりありがとうございました。あの・・・佐々木さんを私に任せてもらえませんか?」

安田先生は敦にお礼を言った。

「助けたのは事実ですが、優を安田先生に任せるのはお断りします。」

敦は安田からの申し出を断った。

「な、何でですか!私はこの子の担任です。教科担任の小久保先生が介入する話じゃありません。出しゃばらないでいただきたい。」

安田先生は敦に食って掛かった。

「貴女の度を越した勘違いで優の怒りは最大に近いです。こうなった元凶は僕ですが、貴女はその助けをしてしまった。さっきので分かったと思いますが。貴女はまぁ、自分の勘違いでも何でもいいですが、優を説得しようと試みた、ですが結果は?結果は無惨でした。僕が止めに入らなければ、先生は殺されていたでしょう。なのに、また殺されに行くのですか?安田先生、今は担任、生徒関係ないです。またあの恐怖を味わいたいですか?安田先生。」

敦は食って掛かってきた安田先生を口で負かした。

「このことは、私から校長先生に報告させてもらいます。」

安田先生は、最終手段を使おうとしていた。だが、私がその口論に割って入った。


「その必要はない。それだけに校長や教頭を巻き込むのは効率的ではない。」

ちょっと高圧的な態度になったけど・・・。

「教師に向って何て言う口をきいているんですか!」

安田先生が私に向って平手打ちをしようとした。

その時「それはダメだよ安田先生。」と教頭の声がした。

安田先生はまずいところを見られてしまい、本日二回目の真っ青な顔。

「教頭、何でわかったの。私が怒っているって。」

私は教頭に聞いた。


「何でかって?そりゃあ、いつまでも戻ってこない安田先生が職員室の天井から聞こえてきたのと、君の唸り声が聞こえたからかな。でも、安田先生、彼らの事情を知らないと言う訳ではないでしょう。」

安田先生は言い返せなくなっていた。

「たぶんですが、小久保先生が禁句を口にしたんでしょう。でしょう?優。」

私は頷いた。教頭の言ってる事は全て合っていたからだ。

「安田先生、優の事は小久保先生に任せて、貴女は頭を冷やしてきなさい。それでいいですね。はい、この件はこれで終わりです。」

教頭先生の一声でこの件は終息したかのように思えた。

だが、完全に解決していなかった。

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