第9話 風の子、注目を浴びる
さて。注目を集めるとしよう。
と言っても方法はシンプルで
一気に走りつつ切って止まる。これを繰り返すだけだ。
実は止まる必要はないのだが、止まるほど注目が集まる。
「わ、もうそこかよ。クソ。」
近くまで行くと警戒して武器を構える戦士たち。
そして構えたところをすり抜けて倒す。
楽勝だね。
そうして僕に視線が集まる間に
魔術師たちが今がチャンスと言わんばかりに魔法を放つ。
当然僕には当たるわけがないので、別の参加者に対してだ。
そうして自然と僕と魔術師の連係プレイが成立する。
参加者がどんどん減る。
参加者の数が10を切ると大きな銅鑼の音が響く。
「試合終了!残った参加者は第二試合の出場決定!」
「次の試合も楽しませてくれよ!!」
第一試合は難なく勝ち残ることが出来た。
続いての第二試合でも同じように動いた。
参加者数は減ったため、魔術師はやりづらそうにしていたが、
僕はかまわず走り抜いた。
そして迎えた第三試合。
準決勝だ。
一対一の勝負。これまでと違う緊迫感。
「大陸大会も準決勝を迎えました!!
数多の屍の山を築き、勝ちあがった強者、その頂点は誰になるのか!?」
「まずは広範囲の超火力で参加者を焼き尽くした
炎の魔術師メギ・ストレイア選手!」
相手は炎の魔術師さん。
黒のツルツルとした半そでハーフパンツを着て大きな杖を持っている。
魔術師にしては・・派手じゃないか?
「誰が相手だろうがあたしの業火が焼き尽くすよ!」
「対して目にもとまらぬ速さで敵を翻弄し
駆けあがってきた無名のルーキー、ウィル・フリード選手!」
そうして僕も会場の中央へ。
「あたしとどちらが注目を浴びるか勝負だ!」
「僕は注目を浴びるのは苦手なんだけどね。」
「準決勝、開始!」