第8話 風の子、剣闘場に出場する
酒場のオッサンに剣闘場を勧められたので行ってみることにした。
せっかくなので出場しようと思う。
ただ観戦するよりも出場したほうがきっと楽しい。
というわけで、いざ受付へ。
「なんだいあんたは。観戦なら席の指定はないよ。」
「いえ、大会に出場したいんです。」
「は?あんたみたいなちびっ子が出場したら命を落とすよ。」
言い方はキツイが、受付のおばさんは親切な人みたいだ。
どうやら普通は僕の歳で参加はしないらしい。
「大丈夫です。逃げ足には自信があるので危なかったらリタイアしますから。」
「もう、どうなっても知らないよ。とりあえず希望者は通す決まりだから受付けしとくけど、できるだけ早くリタイアするんだよ。」
なんとか受付けしてもらえたようだ。
おばさんにはリタイアするなんて言ったけど、当然そのつもりはない。
せっかくなら勝っておきたいところだ。
受付けを済ませた俺は宿屋を探すことにした。
大会は2日後だ。3日くらいは連続で泊まれるところがいいだろう。
中央通から一本奥の道に入る。ここは飲食店や雑貨屋が並んでる。
もう一本奥へ行くと、静かな路地裏といった感じだった。
そしてすぐそこにある宿屋に入ることにした。
宿屋の中は入ってすぐが受付で、あとは寝室だけというシンプルな作りのようだ。
まぁここで良いだろう。
受付けを済ませて部屋に入る。
部屋に入ってベッドに飛び込む。
おやすみなさい。。
そして翌日。
第一試合が始まる。
「さあ!!おまたせしました!!今日は大陸大会!!!
この国の、いやこの大陸ナンバー1の強者を決めようじゃないか!!!」
「ウォォォオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
「己の力で敵をねじ伏せ、最後に君臨するのはどいつだ!!!」
「それでは第一試合!3!2!1!ファイト!!!」
凄い歓声だ。剣闘場をぐるりと見渡す限りの観客。
その中にバラバラに散る参加者。
参加者の中には雄たけびを上げるものもいる。
第一試合、第二試合はバトルロイヤル形式で数を減らすようだ。
それから準決勝は1対1、続いて決勝という流れだ。
とにかく近場から片づける奴も居れば、
端に寄って数が減るのを待つ奴も居る。
僕は斬りかかってくる奴の剣を流して切り捨てる。
そうしながらしばらく様子を見た。
斧や大剣を使う戦士タイプが多いように見える。
動きは単調なので問題は無さそうだ。
厄介に見えるのが俊敏に動き回っているタイプ。
盗賊タイプとでも言おうか。
目で追うことが出来ない戦士たちは翻弄されている。
中には辺り一帯を吹き飛ばす奴もいるから確実に仕留められるとは限らないようだが。
そして様子見をしているのが魔術師といったところか。
全体が把握できたところで参戦することにした。
思い切り走り抜けて戦士も盗賊も切りつける。
「何が起きた!」
戦士の一人が叫ぶ。
どうやら目で追えなかったようだ。
「あいつだ。そこの弱そうなガキが一瞬見えた。」
さて。注目を集めるとしよう。
一人称を僕に変更しました