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ピリオド.  作者: 璃宮光輝
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鎖の効果

片山は考えていた。いくら実体のない幽霊でも、女子高生の家にあがりこんで良いのだろうか、と。自分は彼女からしてみれば面識の無い男であり、普通に考えれば家になんて一歩も入って欲しくないような存在のはずだ。それにもし家の人に霊感があったらどうなるんだ。頭を捻って考えても、答えが出ることは無かった。そうこうしてる間に、どうやら家に着いたらしい。


「家近すぎじゃね?シンキングタイム短すぎだっつの」


一先ず片山は鎖に引っ張られる心の準備をした。過去二回とも、心臓が止まるほど驚かされたために今回は深呼吸もして落ち着く努力をした。とは言っても、彼の心臓はとっくに止まっているのだが。


「うおっ!……あれ」


とうとう鎖に引っ張られ、園崎宅に足を踏み入れたわけだが、引っ張られ方が過去二回と全く異なり逆に驚かされた。どうやら距離が近いと引っ張られ方も優しくなるようだ。


「俺の心の準備は無駄になったのか」


片山は少し恥ずかしがりながら、そう呟いた。そんな彼を気にすることなく園崎はスタスタと二階へ上がって行ったので、片山は彼女を速足で追う。そして再び迷いの時が。


「現役女子高生の部屋に入るのはいくらなんでもまずい気がする。俺はもう死んでるけど、幽霊になって今度は社会的に死ぬなんて嫌だ」


お構い無しに歩いて行く園崎は確実に自身の部屋に向かっている。ここで片山の頭に一つのアイデアが浮かんだ。


「あいつが部屋に入るまで俺はここで待機だ。もしかしたら俺は部屋には吸い込まれないかもしれない、希望的観測だけどこれに賭けるしかない!」


そわそわしながら園崎を見守る片山。どうか吸い込まれませんようにと、手を合わせてひたすら懇願する。もし吸い込まれてしまったらずっと目を閉じていよう、と心の中で呟いたが、どうやらその必要は無いらしい。園崎は部屋に入りドアを閉めた。片山は


「おお!浮いてない!キタコレ!!」


無事だった。これで呪縛の証である鎖がどういうものなのか、だいたい理解することができた。呪縛主が室内にいる時は同じ建物内に居なければならないが、建物内であればどこに居ても大丈夫ということらしい。しかし外にいる場合はどうなるのかまだ分からない。


「不便なのに変わりはないけど、そこそこ自由で助かったな」


片山は浮遊霊に戻る術を探しながら、園崎と共同生活をするという事実を受け入れることが漸くできた。

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