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②-3

②-2の続きです

 しばらく、時間にしては数分、カリンは暴れ続け、急に動きが止まり、その場にバタリと倒れこんだ。

 極度の興奮状態、錯乱状態で失神したようだった。

 闇の中にそのまま溶け込んでしまったかのような静寂が房内に戻った。



 人間の身体というのはある意味単純で、どのような状況下にあっても生理現象というのは止められない。

 新陳代謝の活発な子どもならなおさらだった。

 カリンはひりつくような喉の渇きで覚醒した。

 舌で口内を嘗め回すが、唾液が出てこない。

 顔を触った時、水分があった。たまらずその手を舐める。

 ……しょっぱい。

 涙か鼻水か汗か。

 塩分を舐めたことで、余計に喉が渇いた。

 とはいうものの、ここには何もない。

(喉……渇いたな。お腹も空いてきた。)

 空腹はまだ我慢ができる。だが、喉の渇きは難しい。

 水分を求めて、顔や喉を触ってみる。

 この際、水分は何でも良かった。道端でボウフラのわいている水たまりの水でも何でも。

 だがこの懲罰房には水たまりなどない。

(喉渇いた……。)

 わずかでも水分がないかと房内を手探りで這いまわった。

 その時、もう一つの生理現象に襲われた。

 今度は排泄の方。

 つまり、尿意を覚えたのだ。

(どうしよう……。)

 ここにはトイレもない。

 喉の渇きに、思わず尿を飲むことを考えてしまった。

(そんなこと! )

 一瞬でも考えたことにぎくっとする。

 仮に今水分を摂れば、尿意は更に増すだろう。だが、喉の渇きは我慢でない。

 喉がひりひりする。

 尿意を我慢しすぎて腹痛がしてきた。

 孤独に耐えることも、暗闇に耐えることも、少しできるようになってきた。だが、自分の身体を制御することはできない。

 少しでも体内の水分を外に出さないよう、呼吸でも水分を出さないよう、口をふさいだ。そして腹痛に耐えるように自分をぎっちりと抱きしめていた。

 じっとりとした汗が浮かんでくる。だがその汗は水分というよりは油のようで、身体にベタリと貼りついた。

 寒くもないのに身体が震えた。



今回はここまでしかできませんでした。

次回②-4で②は終了予定です。

次話は水曜日(7/26)あげる予定です。

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