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捕食種  作者: 高槻幸
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対捕食種専門高等学校

対捕食種専門高等学校



水ノ森貴乃みずのもりたかのは、学校の食堂でカレーを頬張りながら、タブレットとにらめっこしていた。

眺めていたのは、次期人型決戦兵器である、MURASAMEのデータであった。


日本式068型人型決戦兵器 MURASAME 各関節に超高速リニアモーターを使用、新型核融合システムを搭載したバルハライト反応縮退炉、そして石油等のエネルギー輸入がストップした今、

各戦闘機で実証済みのハイブリッドイオンジェット推進システム。

全身を覆う新開発の全波長ステルスシステム。


物理弾として、新たに開発されたバラセイル皮膜セラモニウム弾頭

レーザー銃として、メントル型核融合による高出力レーザー

バラセイル皮膜セラムニウム合金による物理サーベル


これらを搭載した、現在捕食種に唯一対抗できると思われる武装である。


「やぁ 貴乃」


声を掛けてきたのは、親友の谷崎弘樹(たにざきひろき)であった、弘樹は、向かいの席に腰を掛けると、話し始めた。


「勉強熱心だねぇ」


貴乃は弘樹のほうを見上げると、カレーを口に頬張りながら「試験が近いからな」といって、またタブレットに視線を落とした。


「仮想訓練の事か、スペックだけ見てても勝てっこないぞ、俺みたいにバーンとドカーンって感じで、体で覚えるんだよ」


「俺は、理論から入る方なんだ、体育馬鹿のお前とは違うんだよ」


「なんだよ体育バカって」


「それよりも、同じクラスの長嶺ゆり(ながみねゆり)いいよなぁ、成績優秀、スポーツ万能、おまけに胸も大きいし、ウエストだって」


「ドールだろ?」


「あ、お前ドールを差別するのか?」


「そうじゃないよ、今時ドールが多すぎて、顔、体型、成績なんてみんな同じようなものじゃないか」


「そうは言ってもナチュラルは少ないぜ、みんな遺伝子操作で親の理想な体に生まれてくるんだ。これからの時代、顔や体型やだって整ってたほうが何かと都合がいいからな、そういうお前だって」


「俺は孤児だ、だから詳しくはわからないが・・・聞いた話ではナチュラルらしい」


「お前ナチュラルか」


「だから人一倍勉強しないとついていけないんだよ」


校舎中に昼休みの終わりのチャイムが響き渡る。あと10分で午後の授業が始まるのだ。


「おっと、次は長靴の歴史だ、ほら、いくぞ」



次の授業は歴史だ、担当の先生が”ながつぐ”という名前の先生なのだが、皆長靴とよんでいる。


貴乃は弘樹に急かされるように、食器を返却台へ乗せると、タブレットを小脇に抱え急いそと学食を後にした。


すでに教室にはほぼ全員の生徒が集まっていた。静かではなかったが、一応みんな席に付き、前後の連中とおしゃべりに興じているのだ。

貴乃も席に付き、そして、タブレットから歴史の項目を選んだ。

そんな時 長靴 が教室に入ってきた。


起立、例、着席 学級委員の野崎仄のざき ほのかが号令を放つと、みんなその指示に従った。


長靴は えー と言うと、 「では現代史の56ページを開いて」といった。


「世界大戦後、つまり今の時代が始まったのがおよそ30年前だ、ここまでは勉強したな」


「世界の石油供給が止まったのは何故だ、長門答えてみろ」


長門が立ち上がると、その質問に答えた。


「大戦末期、中露人民開放連邦国が新型兵器捕食種を遺伝子操作で量産して、世界を席巻していったからです。それに対抗するべく、米国連合軍が大陸弾道弾核ミサイルBS-256通称ヨルムンガンドを発射、中露人民開放連邦を始めとする各国の核保有国が米連合軍に対して、報復攻撃として自動大陸弾道弾核ミサイルを発射し、石油インフラがすべて破壊されたことに起因します・・・そして、」


「長門ありがとう、もういいぞ。そうだ、長門が言ったように捕食種を退治するために米連合が放った大陸弾道弾核ミサイル、その結果地球の全人口の89%が死に絶えそして、超大陸は滅び去った。我々日本を含む島国と呼ばれる、中規模国家のみが生き残ったわけだが、伊丹、その結果どうなった」


「伊丹」


「はい! えーと・・・爆心地付近の捕食種は死にましたが、放射能に耐性のあった捕食種は生き残りました」


「そのとおりだ、核爆弾の強烈な熱によって蒸発した捕食種は居たが、放射能では奴らは死ななかった。捕食者は通常の物理兵器では傷は付けられても、死にはしない。再生能力が高いからだ。そして、捕食種は今も大陸を我が物顔で歩いている。」


「さて、戦後10数年、我々日本の自衛隊は捕食種を殲滅し、大陸を奪い返す為に何を行ってきたか、斎藤」


「核爆弾の熱により捕食種が蒸発したという情報を元に、大戦後に残った通常兵器を改良して核融合反応弾ミサイルを開発し、海上自衛隊の空母”未来”に超音速ステルス戦闘機、心神 S-203を配備、遠距離からの攻撃により、捕食種の一掃に乗り出しました。同様の戦闘形態は現在でも作戦遂行中です」


「そうだ、何しろ情報が少ない、核ミサイルの熱で蒸発したという情報しか無いのだからな。しかし、戦果は上がっていない、軍情報部の見方によると反応弾の熱反応が小さすぎるということらしい」


そんなとき、水ノ森が手を上げた


「なんだ水ノ森」


「はい、経験則上捕食種に有効な武器は核ミサイルしかないのですか?」


「歴史的に見ればそのとおりだ、しかし、これ以上核ミサイルを使用するのは現実的ではない。地球の放射能汚染による環境悪化をこれ以上深刻化せない為、現在、これ以上核爆発を起こすのは得策とは言えない」


「それでは、戦前、戦中、戦後の宇宙について話を進めたいと思う。次のページを開いて」


「えー、戦前の宇宙ではどういったことが行われていたかというと、昔の中華人民共和国、今の中露人民開放連邦国だな、これが、月へ行ってヘリウム3という物質を採取、地球へ持続的に運搬するという事を始めた。資源の独占に異を唱えた米国連合、昔のアメリカ合衆国はヨーロッパ、日本と共同で月のヘリウム3を独自に運搬する事を決めてこれに対抗。その時誕生したのが、現在米国連合現在の日本の沖縄にある軌道エレベーターだ。これにより、中国よりも価格の安いヘリウム3が大量に地球へもたらされた。」


「ヘリウム3で出来ることはなんだ 小林 」


「はい 核融合です」


「そうだな、ヘリウム3で核融合を誘発しそれから電気を作る方法だ。化石燃料に頼らない次世代のエネルギーなわけだが、このヘリウム3の月での奪い合い合戦が、前大戦の引き金になった」



授業は淡々と進んでいき、そして終業のチャイムがなった。


長靴 「今日はこれまで、今日のことをしっかり復習するように、以上」


歴史の授業が終わった。 歴史の授業は今日の最終授業なので、放課後は部活動や寄宿舎へ帰る人、そして少しだが、自宅に帰る人もいる。

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