夕日の向こう
あの町並みに
あの日と同じ夕日が沈む
あの日の私はまだ幼くて
この世の理なんて知らなかった。
それほど純粋でひた向きに生きてきた
だから
希望も夢も持って生きていられた
でも、今は違う。
何が大切なのかなんて
痛い程分かってる。
でも
それを守る術を私は知らない。
だから
私は自分から大切なモノを遠ざけた。
自分でそれを傷付けるのが怖いんだ。
私は無力で弱い人間だから…
本当に大切なモノなんて
ない方がいい。
本当に大切な仲間は
作らない方がいい。
世の理では
その全てが
私を裏切るから
何で泣いているんだろう?
自分からやった事なのに
痛いんだ、心が。
人は皆、悲しみを背負いながら生きている。
だから私はその悲しみを遠ざけたはずなんだ。
なのに
痛みは募るばかりだ……
私は何を求めているの?
もう、何も恐れるものなんてないじゃないか
……本当は分かってる
今の私は間違ってる。
分かってるよ、そんな事
あの日の約束も
私の決めた道も
貴方の顔も
あの日の夕日も
全部、覚えてる
それを失った日の事も
全部覚えてる
私は君を傷付けるつもりなんてなかった。
ただ、一人になるのが怖かったんだ。
だからあの日、
私は君の悪口を言った。
そこに君がいたのも知らずに………
その日から
君は学校に来なくなった。
私はどうしようか悩んだけど
結局、勇気がでなくて君に本当の事が言えなかった。
そして、しばらくたってから君はまた学校に来るようになった
。
それからだ。
私が一人になりだしたのは。
私は今でもそれは
当然の報いだと思ってる。
だから
あの町並みに沈む夕日を見ると
心が痛むんだ。
今でも私は
誰かを傷付けるのが怖い。
だからかな?
上べだけの付き合いをするようになったのは。
それでも私は心地よかったし、
そのままでもいいと思ってた。
でもね
皆といるうちに
本当に皆が大切に思えてしまったんだ。
上べだけじゃなくて
本心で笑ってる自分がいた。
だから話した。
私の過去も
私が皆に対してしてきた付き合いも
そしたら皆は
「ゆっくりでいい」
「私達は上べだけなんかじゃないからね」
そう言ったくれた。
皆の温かさが
私の心に響いた。
涙が止まらなかった
これからは私、
皆を遠ざけるなんて事はしない。
あの日の夕日に誓って