森の中の再会
【マルテ大陸】はここ『ラスタード帝国』を始めとして近隣諸国に『ノルウェル王国』がある。
その広い領土の内2割がこの場所……
【レドリア魔森林】
魔獣やモンスターなどが生息し、密林化した自然が都市開発の行く手を阻む為…廃棄された魔森林になってしまっている。
どこの国も手が出せないファクターが一つ。
それは、危険度Aが湧き出ることが取り合わない理由であり、課題かもしれない。
「もう少ししたら城兵が言っていたエリアかな?」
誰かが待っているらしいけど…って僕は何を期待しているのか……追放者に着いてくる人間は変に決まっているだろうに。
「ノル……ノルさま……ノルさま」
聞き馴染みのある声を聞いて期待していた人物の顔を思い出していた。
彼女は……ラスタード家に仕える者だ…だからこそこの状況は本当はあってはいけない。
「何でキミがこんな場所に居るんだ………ルシア」
「本日付けでラスタード家を辞めてきました。」
「あの…最難関の王宮メイドを辞めたの?」
そもそも王宮のメイドになる為には教養、家事、育児、護衛など多岐に渡る業務を高いレベルでできる必要がある。
だから『王宮専属メイド試験』があり、倍率はなんと千人中……二人ほどの狭過ぎる門。
試験を合格できた者だけが、王宮メイドとして雑務を許される。その中でもルシアは最年少の15才で選ばれた逸材だ。
(確か……僕が10才の頃だよな…就任したの。)
「ハイ♪あのバカ兄貴がニヤニヤしながら…」
ルシアは何を口にしようとして途中で止めて口に両手を当てて『しまった…』 って顔と固まった。
「何か言おうとしてなかったか?」
「いえ……何も?」
「ルシア…嘘をつく時はいつも口を塞ぐ癖…」
「ありゃッ……違うんですよ〜ノル様」
「よし!こうしよう…嘘つくなら王宮に戻って?」
「ゔぇーん。わかったよ…わかりました!」
(最初から話せば済む話ではないだろうか……)
ルシアは『バカ兄貴』について話し出した。
バカ兄貴……つまり、僕の兄のレオンについて、第二王子である僕の処分が決まり、邪魔者がいなくなった事で兄の立ち位置は大きく変化していった。 王位継承権は兄が第一位として確定した。
兄レオンが実権を握ることで周りのメイドや兵士は不安な毎日を過ごすことになるとルシアは言う。
「そうか…皆んなには申し訳ない事をしたな。」
「何を言うのですかノル様!」
「ノル様が政策を裏で立て直したり、城下町の住民の要望や住みやすい街に変えたり、兵士や大臣の働き方改革を陰で秘密裏にしていた事もルシアは知っております。」
「知ってたの!?バレない様にしていたのに…。」
「もちろんです♪」
「私は正直…ノル様が国外追放された事は幸運だったと思います……あの国に未来ないですから。
だから、ノル様の好きな人生を送って見ませんか?私はその手伝いがしたい!」
僕の人生……僕のしたいこと……夢か。
「僕の国を創りたい!誰からも害されない最強の国を……このレドリア魔森林で!!」
「はい。ノル様の計画の為に私は尽力致します。
これからは"マスター"と呼称し、ずっと支えになると誓いましょう。」
ルシアは腰を下ろし、片膝を付けると僕の左手の甲にキスをした。
(これは普通…男がするんじゃないの!?)
「コレから宜しくルシア♪忙しくなるネ!」
「ハッ!マスター。」
「いゃ……ノルで良いから!」
「ノルとお呼びしても良いのですか?」
「呼んでいいし、敬語も不要だよ。二人だし。」
「ノル…」
「ん……良し!慣れていこう♪」
森の奥で二人は再会を果たし、より強い絆で結ばれ、コレから始まる開拓リベンジ計画が始まるのだった。