砦完成速度が早すぎる件。
次の日の朝、ベッドで一人で寝ていると…寝苦しさで目を覚ましたら……なぜか、隣でエリーナがぐっすりと寝ていた。
「ゔぅ…寝苦しい……なっ!?」
「……って何でエリーナが隣で寝てるんだ?!」
(確か昨日は別の部屋に入って行ったよね?)
「う…ん。おはよう…ございますぅ……」
寝ぼけた様子で目を擦りながらゆっくりと体を起こすエリーナはノルの顔をジーッと見つめた。
「あれ…?どうして私の部屋にノルが居るのでしょう……まぁ、イイか♪一緒にもう一眠りしちゃいましょう♡」
ノルに体を密着させるとエリーナは再び目を閉じようとしたが、さすがにノルはエリーナを強引に起こした。
「そろそろ、起きる時間だよエリー!」
「もう少しだけ……スヤスヤ。」
「今日は砦を仕上げたら暇だし、エリーとお出かけを考えてたんだけどな……お寝坊さんとは行けないな〜!」
ノルの作戦にまんまと引っかかってしまったエリーナはちょっとだけムスッとしながらも直ぐに笑顔になっていた。
「約束ですよー?絶対に二人きりで……ですよ?」
人差し指を立てながら約束を取り付けるエリーナの姿を見たノルはその可愛らしさにギュッとしたい気持ちをグッと抑えた。
「エリーナとのデートが楽しみだなぁー♡」
「でしたら……」
エリーナは体を近づけるとノルの頬に優しく唇が触れるとノルとエリーナは同じくらい顔を赤ながらクスッと笑い合った。
「急だったからビックリしたよ…エリー。」
「続きはノルの頑張り次第ですよっ♪」
エリーナと結婚してからずっとノルは満たされている事を感じていたけれど、今日はさらに特別な感じがしていた。
「じゃあ、行ってきます!」
「はい!行ってらっしゃい…旦那様……」
エリーナは小声で『旦那様……』と言ったけど、ノルは聞こえていなくて少しホッとするエリーナだった。
「ん?何か言った?」
「いいえ、何もないですよ♪頑張って♡」
やる気をもらったノルは午前中に外周部分の砦の建築を完成させる為に急いで資材置き場へと向かった。
砦の近くに設置してあった資材置き場に朝早くに到着したが、ジルドラが先にやって来ていた。
「おや…ノル様?本日はいつもよりも、お早いのですね?やる気満々なのは助かります!」
「うん、まぁそうだね……やる気マンマン過ぎる僕の今日の目標は……昼までに完成させること!
そのつもりでジルドラさんもお願いします。」
「ご…ご、ご冗談を……」
(さすがに半日で出来る訳がない!)
「はぁ…。まぁ、早く終わらせれるならば助かりますがね!」
資材を確認して驚いた。
「ちゃんと均等に資材を置いてもらってる……ありがたいよ!これならハイペースでやれるぞー!」
「スキル―配置図面連結―」
新たに考えたスキルの組み合わせた技を使い、同じ図面を連続で作成したのを脳内で連結させた。
「後は……収納!」
資材を収納して直ぐに【建築】を使って一気に作り上げた。
アダマンタイトの素材と魔物対策用に魔性石を組み入れて魔物が嫌いな魔力の波動を出した。
さらに魔改造した大砲……魔光砲に作り替えたノルは順調に壁を完成させた。
「な…な、なんてこった……」
「そんな…半日だと!?」
「いゃ〜皆さんの素材配列が上手くいきました!」
「おっと、いけない…今からデートなのでジルドラさんまた、明日ですね…失礼します!」
ノルは慌ててエリーナの元に向かって走っているとエリーナも同じ気持ちだったのか、すぐ近くまで迎えに来てくれていたのだった。