ほろ酔い気分で絶好調!?
ノルはエリーナとルシアと城の客室で合流するとお互いにどんなことをしていたのかを語り合っていた。
「そうだったのですね。
外壁に魔物が開けた穴が……修復も大変そう。」
エリーナなの言葉にルシアも頷いていた。
「喫緊の課題はその魔物であるキング・ボアの討伐ですね。」
「そうなんだよ。
だからちょっと視点を変えた方法で外壁の修復を考えてるんだ〜♪」
ノルが楽しそうに話をしている姿を見て二人は微笑んで話を聞いていた。
「ん?二人ともどうしたの?」
「ノルが……カワイイです!」
「ほんとソレ……ですね!」
エリーナとルシアは口を揃えて言った。
「「カワイイ!!」」
ノルは急に言われて顔を赤く染めながらアタフタと戸惑っていると扉をトントンっと鳴らす音が聞こえてきた。
居た堪れないノルは慌てて扉に向かって走って扉を開くとそこにはレベッカが立っていた。
「あら…?ノルどうしたん?
顔が真っ赤やで?」
後ろからクスクスと笑う二人にレベッカは何かに気づくとニヤニヤと笑みを浮かべた。
「ちょっ…何を笑ってんだよ!」
「アンさんも男の子やなぁーって思ってな♪」
レベッカには何か勘違いされている気もするけど、この空気感にノルは言葉を失った。
「アタシも混ぜてなぁ〜!」
「良いですよぉ〜。」
「再び女子会ですね!」
女子会が始まりそうになりノルは入れ替わるように外に出ようとソッと動いていると三人に捕まってしまった。
「ノルも一緒に楽しみましょ!」
「ようやくノル様の側に居られるんだから楽しみましょうよ〜!」
「せやで〜♪」
「ん……!?」
ノルは気づいてしまった……。
この部屋に入ってきた時から少しだけ違和感を感じていたのはコレだったのか!
三人から微かに香る酒の匂いが漂っていたのに疲れていたせいで気づかなかった。
「えっ…酒でも飲んだ?」
「へ?サケは食べてやいよ?」
エリーナは頬を赤くしてトロッとした目でこちらを見ながら『酒』と『鮭』を間違っているし……。
「ルシアも飲んだのか?」
「私……飲んでまへん。」
真っ白な顔で分かりにくいけど、普段と違う点はあった。それは微妙に身体がフラフラしている所だった。
あと、『まへん』は正常時では言わないだろうから間違いない。
「いっぱい楽しもなーっ!」
「レベッカは……酔ってないか。」
「ちょい待ちぃ!何でアタシが酔ってないってバレたん……?」
「だって、正常運転みたいなノリだからね。
あとは酒の匂いはしているけど、二人よりも酔ってる感じじゃないからな。それより……」
ノルはレベッカを別室に連れて行くとどうして酔っ払ってるのかを説明させた。
レベッカも『マジなやつだ』とノルの逆鱗に触れて反省して経緯を話し出した。
どうやら、帰る前に酒場に寄って三人で楽しく飲んでいたら止まらなくなってしまったのが原因で二人が酔っ払ってしまったらしい。
「はぁ…。通りでハイテンションでからかって来るわけか……何杯飲ませた?」
「えっと……4杯」
「4杯でこの状況……!?」
それから話を変えて壁のレイアウトを見せたり、外壁に取り付ける武器の話などを話し合って気がつけば随分と時間が経っていた。
「よし、話はこのくらいにしようか。二人のとこに戻ろうかレベッカ!」
「は、はい。それにしてもあんなことを実際にできるん?」
「任せてよ!スキルで作ってみせるからさ。
あとは材料を準備できるように話を付けておいてくれると助かるよ。」
「ハイよ〜任せとき♪」
ノルとレベッカはエリーナとルシアが待つ部屋に向かうとすでに二人はソファーで気持ち良さそうに眠ってしまっていた。
二人にソッと毛布をかけてから部屋を後にしたのだった。