クエスト発令!
「ノルに頼みがある」
デルタロス王はすでに僕のスキルについての情報を娘のレベッカから前もって聞かされていた。
だからなのか彼は僕専用のクエストを依頼して来たのだった。
「先日、この町と城の周辺を取り囲むバリアを魔獣との衝突の際に一部、ヒビが入ってしまったのだ」
「ヒビ……」
ヒビの修繕は可能かもしれないが、バリアの貼り直しは無理だと思うんだが……
「そのヒビの修繕と砦の新築を頼めないか?」
「でしたらできると思いますが、ただ…材料があるかどうか……」
これだけ広大な国をぐるっと一周するほどの壁を作るとなると多くの材料が必要になる。
しかも、魔物じゃなくて魔獣か。それだと頑丈さと迎撃できる武器も搭載しておいた方が……イイ?
「資材については問題はないと思うぞ?」
「え?」
「ジルドラ…ノルに後で例の場所へ案内せよ」
「かしこまりました」
スラッとした黒猫……黒猫族!?たしか、希少種であまり居ないって聞いたことある!
「ノルよ…他に必要な物はないか?」
「そうですね……なら、武器になりそうな物か素材があったらそれも欲しいです!」
「ふむ……わかった」
「ジルドラ…ノルが欲する物を用意せよ!」
「はい。王の命とあらば」
ジルドラさんは忠実な家臣なんだろうな…それにデルタロス王の信頼も厚い。良い関係性だと思う。
「ノルよ。この依頼が達成できたら褒美を与える」
そう言うと王は何処かへと行ってしまった。
「いや、レベッカさんにお礼したいだ……」
行ってしまった……褒美なんて必要は無かったんだけど、こうなった以上は貰わないと失礼になるだろうから褒美に釣り合うくらいの成果は出さないといけないな。
「さぁ、ノル様。こちらにございます。」
「ありがとうございます!」
「あっ、レベッカさんにお願いがあるんだけど、聞いてもらえると助かるんだけど……」
「なんや、みずくさいやないの。何でも聞くで?
せやな……エロいこと以外なら!」
レベッカは笑いながら冗談半分に言いつつ、話しやすい状況を自然と作ってくれている…やっぱり、彼女の回転の速さに驚かされる。
「エリーナとルシアにこの国のガイドをしてもらえたらなって思ってるんだけど……イイかな?」
「え……私はこの国の姫やで?一応……ってな!
エエよ♪最初からそのつもりやったし!」
これで気がかりだった問題も解決した。レベッカに任せていれば安心だ。
なによりエリーナもルシアもレベッカの人柄を気に入っているようだったからね。
「女子トークもできるでしょ……」
「ん?ノル……なんか言った?」
「いいや?何も言ってないけど?じゃあ、仕事してくるから二人とも楽しんでね!」
こうして僕とジルドラさんで修繕工事の為に現場に向かい、レベッカとエリーナとルシアで観光に行くことになったのだった。




