獣王国への道中は雪。
僕らは北側の国境にある獣王国へと馬車に揺られながら目指すことになった。
獣王国は険しい山間部にある。さらに年中が極寒の地帯だから人間は住み辛い地域と聞く。
「あっちは寒いから防寒対策はしっかりせなな!」
レベッカは馬車の中に用意していた男性物と女性物の防寒着を箱から取り出すとそれぞれに手渡した。
「どうしてこんなのを馬車に!?」
「何でも事前準備が大事やからね〜♪私のモットーは計画的にやからな!」
レベッカらしい回答に全員に笑いが溢れた。
「やっぱり獣王国は遠いの?」
僕の質問にレベッカはすぐに返して来た。
彼女は何でも先読みをしているみたいにパッと返事を返したり、気を利かせたりと細かなことができる女性で好感が持てた…最初は少し考えていることが分からなかった部分もあったけど、国思いの子なのは見ていると分かる。
「4時間はかかるかも…天候次第って所が大きいから時間はかかると思うで?」
「そっか、道中には危険とかは無いの?」
魔物や盗賊なんかも出てくる可能性だってあるなら早めに知っておく必要はあるだろう。
「危険……そんなら寒さが危険やね。山に入る前に魔法で馬達に保温魔法を掛けたり、馬用の厚めの服を着せてあげんと死んでしまうんやわ。」
魔法で保温……そんだけ寒い場所に国があるの?
「それは……確かに危険だね」
「そやから馬もけど、馬車全体にも保温魔法を掛けておくんよ。凍死しないように……」
その口調に妙に説得力を感じた。その後、山の入り口までは何のトラブルも起きずに来れた。
「ココらで一旦、休憩しといて!」
そう言うとレベッカだけが降りて他の獣王国の部隊に命令を始める。
「そしたら保温魔法でコーティングを始めや!」
すると部隊の人達が一斉に声を上げた。
「「御意!」」
〈連携魔法―ホットレイン―〉
温かい雨が降り注ぐと薄い膜のようなバリアが馬車や馬を包むと中の温度は一定の温度になり、快適な気温へと変化した。
「僕……初めて見た。連携魔法って熟練度が高くて扱える人が少ないって聞いたことある」
この光景を物珍しそうに眺めているとレベッカが兵士達への指示が終わって戻ってきていた。
「ホンマなん?連携魔法って普通やと思ってたよ」
「あんな行動魔法が普通なわけありますかっ!ってそれよりもレベッカさんは兵士の人への指示は終わったんですか?」
コレだけ大所帯の軍を連れているから全体的なことを指示するなら時間もかかりそうな気もするなけど、アッサリと戻ってきて本当に大丈夫なのか?
「それゃ〜普通はそうはいかんけど、私の軍は別もんやからね。皆んな優秀なのと、ちょっとした指示で彼らは行動を考えてから動くんよ!」
そう言うとレベッカは自慢気に振る舞うと再び別の場所に向かって歩き出した。
「あの方とはノル様とも歳が近いのにしっかりとされています。もちろんノル様も……だからノル様世代は優秀な方が多いと感じました」
ルシアは二つ上だからなのか少し寂しいような悔しいようなそんな複雑な表情をしていた。




