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獣王国の姫君

「ぷっ。恥ずかしがり屋…ちゃいますよ?」


 ずっと目すら合わせようとしなかった彼女は吹き出すように笑うとようやくレオンに目を合わせ、口を開いた。


「事前にアンさんについて情報を仕入れさせてもらいましたけど…残念ですわ」

「何をおっしゃているんだ?僕に何かキミに対しての無礼はあっただろうか?」


「それ……普段は兵士達を見下すくせに私には紳士的な対応をする…つまり、相手に合わせてコロコロと態度を変えるって……アホちゃいます?」


 レオンの顔色に若干の影を刻ませた姫はさらに追い討ちをかける。


「キミに言われるのは釈然としないな。僕は確かに人に合わせて態度を変えるのは当然だと思いますよ?だって……王族なのだから。」

「そう…王族は民草に好かれるのでは無く、威厳を示すもの……古いッ!」


「古いだと!?」

「国と民は言っちゃえば共存共栄ちゃいますの?

信頼関係こそが価値があるんちゃいますか?」


 この姫様は言葉や知識、価値観に至るまで話す内容に一本の芯を持っている。


「言わせておけば……これは我が国の方針なのだから放って置いてもらいたい!」

「そりゃそうね。私には関係あらへんからな。

そうそう…もう一人いたやろ?」


「クッ……誰のことだ?」

「あの子よ〜アンさんの弟さんに会ってみたいんやけど……どこにおるん?」

(目的はそっちやからな…お見合いは口実。)


「ノルなら処刑された。いゃ、正確に言えば除名と追放処分だがな!」

「な、なに!?アホなことを……この国の頭脳を手放すとか正気やあらへん!追放先はどこ?」


「誰が教えるものか!」

「私が連れて来たのは1万の精鋭でその中でも最強と言われるのがそこの二人…意味は理解できる?」


「私を殺せても帝国は滅ぶのは明白だし、そもそもこの二人には勝てないから諦めや!」

「お前は僕とお見合いさせられる道具で来たんじゃなかったのか?」


「あはは、オモロい冗談やわー♪アンさんの頭はお花畑やなぁ…この見合いは交渉のテーブルなんて用意されとらんよ。」

「何を言って……」


「私はあのノルを狙っとってん。あの若さで頭の良さや人に対するリスペクトを聞いた時は胸が躍ったけど、前回…彼の消息が消えたと報告を受けて慌ててこちらに伺ったんよ。口実に利用させてもらったんだけど……クズ過ぎて心は痛まずに済んだわ。」


「俺を侮辱するなど万死に値するぞ…女狐が!」

「本性がダダ漏れですやん!」

「生きて帰れぬと心せよ。」


 レオンは完全にブチ切れた様子で手持ちの剣を抜いて刃を向けた。

 獣王国の姫君はそれを見て恐怖する所か楽しんでるかの様にその挑戦を応えるのだった。

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