神の面前。
「失礼致しまする…私はレイバレ。ギフト付与師に御座いまする。」
ご高齢の紫色のローブを身にまとい、まるで魔女の様な装いに目を奪われる。
(ん?魔女……って何だっけ?)
「さぁ、ノル様……こちらへ。」
「……」
「この水晶は神ウルスとの契約をする秘宝ですじゃ…アナタ様は今からこれに触れ、神と面会してギフトを授かるのですじゃ。」
契約……神様に会うってファンタジーな話だな。
(あれ、ファンタジーって……?)
「レイバレ殿に感謝を…神ウルスに感謝を。」
神に祈りを捧げてから僕は水晶に両手を重ねて目を閉じ、心を無にした…。
――無の領域――
「ようやく会えましたね」
「あなた様がウルス様?」
「ええ。私がウルス神で間違いないよ♪」
「君の記憶を返します。前世の神無 白夜との約束だからね。」
前世の記憶が一気に蘇る…二日酔いの様なグラグラ感がノルを襲う。
「ゔぅ…頭痛い……」
「そりゃね…記憶が二つ混在するのだから仕方ないよ。白夜はあの日の約束を前世で叶えてくれたからこれはご褒美…いゃ、もしかすると罰になるかも」
「エッ?ウルスじゃん!」
「おひさ〜♪白夜の記憶とノルの記憶は整理できたかな?」
「まぁ……何とかできたかな。罰になるって?」
「今からあげるギフトは王族は手にしないギフトで白夜が転生したらやってみたいって言っていたやつなんだけど……それでイイ?」
白夜の記憶では『国を創りたい!』って言っていた様な……でも、すでにオレは王族だよね?
「国を創りたいって言ったやつかな?」
「そうそう♪」
「でも、王族だよね……今?願いが叶ってる様な気もするけど。」
神ウルスは今後、数年で起こる内容を全て白夜に教えた。
「つまり…ざっくり言ったら国は滅亡し、王族は粛正で斬首刑になると?」
「ノルの兄と父は権力に執着するあまり、民を疎かにし続ける。ノルはそれを抑えていたけど…兄から濡れ衣を着せられて先に処刑されるのよ。」
「ひどい話だな…。」
それはノルの生涯があまりに不便だ。
「このタイミングで白夜の夢である自身の国を創れば全て解決なんだよね♪」
「どう言うこと!?」
「今、ノルが失墜すれば、必ず国外追放処分になるからそれでノルは助かるし、白夜の夢も続けられるっていうプランだけど……乗る?」
ノルは……民を憂いているんだな。なら、国を新しく建国してラスタードの民を奪い取る!
「よし、それで行くよ。」
「了解。では、あなたに神の加護を与えます。」
――現実――
夢かの様だったけど…現実なんだ。
「こ、こ……これは……」
ギフト付与師レイバレはあまりの出来事に思わず固まってしまっていた。
「前代未聞じゃあ…王族がこのようなギフト……」