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同盟締結

「大人の方々は今からが大人の時間ですのでお父様に言って私達は部屋へ戻りませんか?」


 エリーナの意見に僕は賛成だった。実は疲労感があって休みたいとは思っていたからちょうど良かったぁ。


「うん。僕も色々とあり過ぎて疲れちゃって…」


 彼女は僕が疲れている事にいち早く気づいていたのかも知れない…自分もキツイはずなのにエリーナはすごいと感心していた。


「あっ…でも、同盟の件はどうしよう……まだ、王様とは話ができていなくて。」

「ノル様、お父様ならすでに同意書を作成し、印も押しておりましたよ?結婚が内定した時点でお父様はノル様の国を助ける条約まで大臣と打ち合わせしていたとお母様も言っていましたのでご安心を♪」


 エリーナは同盟のこと、民の移住のこと、もし…僕の国が戦乱に巻き込まれた場合にノルウェル国が軍を派遣してくれる事などの確約書と同意書を作ってくれていた。


「後は明日、ノル様がサインしたら締結します。」

「そんなとこまで……感謝しないと。」


 僕の世界の中心はあの帝国だった…そんな帝国から追放され、父と兄、母からも見捨てられた。

 そんな悲劇の中…ルシアが追いかけて来てくれ、辺境伯のレイチャード殿を始め、ロール、ゼノビアにファル達に支えられ……そしてエリーナに愛されて……不幸なんかじゃなく、実は幸せ者だったんだと改めて思い知った。


 涙が……止めどなく溢れて……


「ど、ど…どうされたのですか!?」

「んー。幸せだと思えたら…涙が……出てさ。」


 エリーナの前で豪快に泣く自分……ちょっと笑えるが半分…恥ずかしさが半分くらいだろうか。


「泣いてください…辛かったはずです……」


『泣いて良いんです…よく頑張りましたね。』


 彼女の温かな言葉に僕は全力で泣いてしまった。

まぁ、周りに人がいたかもしれないけど…気にせずに……だってまだ、僕は……


『15歳……子供なんだから!』


 後から知ったけど同い年と思っていたエリーナは僕より一つ上だった事は部屋に戻った後の雑談で知らされるのだった。


(だから、あんな包容力が……クッ!)


 次の日の朝。王様に二人で呼び出され、王の間へと足を運んだ。

 僕らは謁見って事で王に対して片膝を落として頭を下げて王様がいらっしゃるのを待っていた。

 非公認であれば身内って形を取るのだが、今回は国王と新参の国王と国を束ねる者同士の会談の場だからこそ、礼節は(わきま)えないといけない。


 王様が玉座の前に立ち二人に向けて言った……


「面を上げよ。」


 僕らは指示通りに頭を上げて王様を見つめる。


「これより、ノルティア小国とノルウェル王国の同盟成立の儀を執り行う!」


 大臣が読み上げると書類が入った箱を大事そうに持ってくると、目の前に置かれた台に箱を置いた。


「我、国…ノルウェルはこれより、ノルティア国と同盟と友誼(ゆうぎ)を結ぶ事とする。」

「王よ…ありがとうございます。」


「ノルとエリーナへ一つ送ろう……」

(あれ?話では同盟が締結して終わりでは?)


 まさか……サプライズ!?


「ノル……アルフォード!ノル・アルフォードとして今後はアルフォードを家名として名乗りなさい」


 急に王様から家名をもらった事にエリーナは僕以上に驚いていた。


「お父様!?」

「エリーナよお主もエリーナ・アルフォードとして今後はノル殿の元で励みなさい。」

「はぃ…」


「ノル殿…娘を頼んだぞ!」

「はい!私の全身全霊を持って幸せにできるよう最善を尽くすと誓います。」


「これにて同盟国の協議と家名授与式を閉幕する」

「二人とも下がって良いぞ。」


 僕達は王の間を退出して控えの部屋へと向かって歩いていた。

 最後に王妃様と王様が最後に話したいからと王の間の警備兵が王様から別室で待つようにと伝言を任されていたようだ。


 そして僕らは貴賓室へと案内されたのだった。


 


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