ノルウェル王国と宴。
突然の公開結婚式の後、夜には貴族を城に招いての晩餐会とお披露目が行われ、エリーナも僕も休まれない状況の中で疲労感が出始めていた。
「ノル様…顔色が……お疲れになったでしょう?」
エリーナは僕の疲れを見抜くとそっとイスに座らせると飲み物を持って来てくれた。
「ありがとう…エリーナも疲れたでしょ?」
顔には出していなかったけど、彼女も相当な負担や人への対応に追われていたから疲れてるはず…。
「ちょっと外に出たくて…エリーナも来て!」
「……!?」
僕はエリーナの手を握ると有無を言わさず、王様の元へ駆け寄った。
「王様、エリーナがちょっと気分が優れないので夜風に辺りに行って参ります!」
「頼んだぞ…婿殿……」
王様は小さい声で話すと王様、王妃様は手を振りながら見送ると他の人達の相手をしてくれて、その隙に庭園へと向かった。
息抜きしたかったのもあるけどエリーナとゆっくりと話がしたくて僕はつい、強引に彼女を連れ出してしまったと庭園に着いてから反省していた……。
すると……
「ノル様…手……繋いじゃいましたね♪」
「へへっ♪そうだね!キスは緊張で実感無かったけど……これは凄く……嬉しいよ…エリーナ♪」
「はい、私も……嬉しい…です♡」
ぎこちないけど、やっと実感が湧いてくる……。勢いで結婚した感がどうしてもあったんだけど、僕はやはり……彼女が大好きなんだと知る。
「覚えていますか?」
「……え?」
「ここ…私の初恋の場所なんです……」
あぁ……覚えているとも……。
舞踏会の日の夜…人混みで酔ったエリーナが体調を崩してこの庭園で苦しそうなのを見つけた日…。
医者を探して周り、見つけると急いで彼女がいる庭園へ連れて行って治療してもらったんだ…。
「あの日…私は的確な判断力、行動力、決断力…そして何より、人としての優しさを持った方だと感じましたわ!」
「あの時は本当に慌てちゃって…」
「女の子が苦しそうだと思って無我夢中だった。」
いいえ。あの時のノル様は私にとって……
『とてもカッコよかったです。私の勇者さま♡』
「ん?」
(どうして見つめらて……何か口に付いてる!?)
「ずっと好きだったので念願が叶いましたわ♪」
「さぁ♪もう…ひと踏ん張り頑張りましょう♪」
「そうだね……頑張ろうか。」
まさかノル様がこの場所(庭園)に連れて来てくれるなんてとは思ってもみなかった。
私があの日、決意したこの庭園で再び二人で語らえるなんて奇跡みたいなものですわね……。
『これからは妻として支えますわ……。』
エリーナは心の中で強く誓ったのだった。
31話からスタートします。
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