15才の覚悟。
「はぁ…………。」
「今日は一段と大きなため息をされておりますね」
彼女は僕の専属メイドになったルシア。19才。昔から彼女に好意はあるけど…許さない恋ってね。
「だってルシア…今日はアレがあるんだ。
気分だって滅入るさ……。」
「晴れ舞台ですよ?それに…ノル様の願いも叶いますし……イイ事だらけです。」
そう……
今日を成功さたら僕の夢に一歩近づける。今までは大臣や商業ギルドを『お願い』する形で行動していたのが、『命令』に変わる分、彼らのリスク軽減にも繋がるし、陰で兄上にひどい仕打ちをされる人も減るはず……。
あの日、見てしまったんだ。
兄レオンが僕に助力してくれていた貴族を失墜させる瞬間を…正直、兄は怖い。
何を考え、何を念頭にしているか全く読めない。更に兄は発言力もあるから皆んなが萎縮し始めているのは想像に難くない。
そんな事を思考しているとルシアが僕の肩にポンと触れると耳元に近づき……
「さぁ、ノル様 できましたよ♪」
「ありがとう…行って来ます!」
「はい、行ってらっしゃいませ。」
ルシアは深々と頭を下げると僕が部屋を出るまで同じ姿勢で送り出してくれた。
さてと…謁見の間へ行くとしよう。
「ノル・ラスタード様がお越しになられました!」
門兵の一人が大声で到着を知らせるとゆっくりと門が開き、前方には父上である皇帝ザリオンが玉座に座って待っていた。
「ノル・ラスタードここに参りました。」
「久しいな…愚息よ。」
父と子であっても利にならない場合は簡単に見放されてしまうような社会。
つまり、父上とは数年は会えていなかった。母上も同じく会っていない。
教育や育児は貴族や王族らは皆、召使いが世話をして教養を身につけさせるからこそ、お披露目の場は緊張感が漂う……僕の一挙手一投足が育ててくれた召使いの生命に関わるからだ。
「父上もお変わりないようで何よりです。」
「ほう…教育係からも愚息の知能の高さに驚いておったぞ。」
「勿体無いお言葉に感謝を。」
兄上、母上、父上は皆が他人のように冷たい。それはこの王族ゆえの縛りがあるからか…野心の無いものは王族では無いとでも言ってくるかのような圧を皇帝ザリオンからは伝わって来る。
「今日はギフト付与式である。
王族は我が国においての矛であり、ギフトの力は武力国家の礎たる……愚息よ…この国を任せるに至るかは敵を屠るだけのギフトを持って第一後継者として認めよう。」
これを乗り切れば権限が手に入る……国を良き方向に正せる。そしたら父上も変わってくださるか。
「謹んでギフト付与式に挑む所存です。」
「良き覚悟だ。ギフト付与師をここへ。」
ギフトは一人に付き一つ。
特殊な水晶に手をかざす事でランダムに付与されるから誰にも結果は分からない。
しかし、王族は今までにハズレは出ていないから問題は無いだろう♪