エリーナ(サイド)
その頃、エリーナはノルを貴賓室で待たせると急いで中庭に向かっていた。
今回の結婚は必ず成功させる……その為にずっと計画を考えていたのだから、パパとママを納得させる為のプレゼンを成功させるわ。
【ティータイム】とはノルウェル王と王妃が二人で過ごす大事な時間でその時間は仕事を一切しないという徹底ぶり……。
裏庭に出て庭園を少し進む…綺麗な花や植物が規則的に並べられ、色鮮やかに咲き誇っている。
噴水もいくつもあって、庭園の中央には一番大きいサイズの噴水があり、その裏側に庭を見渡せる屋根付きのテラスがあり、そこでいつも紅茶を楽しんでいる。
もう少しで着きますわ。
この庭園では走り回る事を禁じられている為、小走りで足早に向かった。
「はぁ、はぁ……着きました。」
「あら?エリーナはラスタードに行ったのではなくて?」
ママからの質問に私は息切れをしていて答えれずにいた。
「はぁ…はぁ…はぁ。ちょっと……」
するとパパも何かあったのかと心配になり、私に質問を始めた。
「まさか…ノル君は病気になったのか?」
「ノル君は大丈夫かしら?心配ねぇ……。」
少しずつ息が整い始め、私は誤解を解いて本題を話し始める……
「彼は無事なのだな…本当に良かった。」
「えぇ…それで今、彼を連れて参りまして……」
「な……な、なに!?」
(そうですよね…急に連れて来るなんて非常式ですよね……でも、チャンスなのです!)
「それなら早く言いなさい!結婚は明日か明後日するのか?」
「あら〜おめでたいですわね♪」
「国中に伝えねばな!」
「ちょ……ちょっとお待ちください!」
「ん?何じゃ?まさか……まだなのか?」
「いえいえ……そのつもりですけど!結婚って良いのですか!?」
私がそう言うとパパとママは顔を見合わせると私をもう一度見て大笑いしていた。
「ワハハッ♪まさか、結婚して良いのですかは逆にビックリしたわい!エリーナがノル君に助けられた日からワシもルーシャも同じ気持ちだったんじゃよ?」
「え?」
(私が助けられた日から……ずっと?)
「ワシらはノル君にならエリーナを任せてもよいと考えておる。彼には恩もあるし、彼の国での功績を自慢げに話すレイチャード殿にも聞かされておったからずっと直接会いたかったんだ。」
「私もよ〜♪ロールちゃんからも聞かされていたからずっと気になっててね!エリーナちゃんを助けてくれた時はバタバタでお礼も言えてなかったわ。」
「それじゃ……結婚しても……?」
「良いに決まっておる!」
「私もよ〜レイチャードさんから聞いた計画も面白そうだから協力するつもりだしね!」
思っていた以上にアッサリ決まり、私はすごい覚悟を決めてプレゼンする為に考えていたのに…拍子抜けしちゃった。
でも、これでノル様を安心して迎えられます。