貴賓室にて。
前回、ノルウェル王国に訪問した際は帝国の皇帝が渋って結局、王族は僕だけで挨拶しに行って緊張の中で周りを見る余裕がなかったっけ……。
こんなにも素敵な建物が沢山あるとは流石だ…。
「ノル様、今回は少しだけ来賓室でお待ち頂くと思いますが……宜しいですか?」
「構いませんよ…じゃなくて、大丈夫だよ!」
「王に謁見するって普通はかなり大変な手順を踏まないと会えないんだし、気にしてないよ♪」
「そ…そそうなんですよ!」
(何か気になる反応してるな…エリーナって嘘は苦手そうだね。)
馬車が城の入り口に止まった。
馬車から覗いて見ていたけど、真っ白い城壁に屋根の部分が青と清廉さが滲み出ている…城にも!?
「前の住まいよりも大きい……」
「ラスタード城も広いじゃないんですか?」
「ココほどはないよ?絶対に!!」
つい、言い切ってしまったが、それをクスクス笑って……どうしてこの子はこんなにも良い笑顔が見せれるのだろうか。
「さぁ!中へどうぞ…ノルウェル城へようこそ♪」
本当に装飾もだけど城内もピカピカで掃除が行き届いている感じ……しかも、城で働く臣下やメイド達も幸せそうに働いている。
「あら、エリーナ嬢は今、帰って……」
ベテランメイドらしきご婦人がこちらに気付いて目がロックオンされているのに気付いて僕は瞬間的に気付いて目を逸らした。
「あら……あら…あらあら……?」
(横に近づいたと思ったらガン見してくる……)
「もしかして……エリーちゃん…まさか!?」
「はい、旦那様を連れ帰ってまいりましたわ。」
ご婦人は目から涙がポロポロと溢れながらエリーナを強く抱きしめた。
「いた…いたいた……痛い!痛いですリンダ。」
「あら、ごめんなさいねエリーちゃん!」
「ノル様、こちらはリンダと言って私の身の回りをする専用メイドです。」
「初めまして。僕はノルと言います。」
「ノル……どこかで……あっ!あのラスタード帝国の神童くんでしょ?」
「神童かは…ちょっと分かりませんが、そのラスタードを名乗るを禁じられてますので、ただのノルで挨拶させて下さい!」
「ちょっとエリーちゃん!イイのを引っ掛けて来たわね〜♪礼儀正しく、目上を立てれるなんて…聞いていたラスタード帝国の印象とは少し違うわ。」
「それはノル様だけで他は印象通りのようですよ?それより、母と父はどちらです?」
「二人とも今は……ティータイム中かも。」
「なら、例の場所ですね…ありがとう。」
どうやら話が終わったらしく、エリーナが僕の元に戻ってきた。すると、リンダはニコニコしながら手を振ると持ち場に戻って行った。
「ココで働く人は皆が家族みたいな感じで仲が良いんです♪リンダみたいに砕けた話し方でお願いしているのでいつもこんな感じなんですわ!」
「それって凄く良いと思うよ!僕もそんな国を目指したいと思ってるんだ。」
「素敵です♡」
真っ直ぐに言われると照れてしまう……
それから少し話をしながら3階にある来賓室に通されると暫く待つように言われ、エリーナはどこかに行ってしまった事で一人になると余計に緊張感が高まっているノルだった。