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城下町の視察。

このラスタード帝国の王に即位できる条件は3つ。

一つ。王族であること。

二つ。民から支持されている事。

三つ。最強のギフトを持つ事。


 特に最後の三つ目は二番目に重視され、ギフト次第では王族失墜罪としてよくて国外追放、悪くて死刑になるほどの重要なファクターだ。


 まぁ、僕は王位に興味は無いんだけど…それよりも国民の皆さんが幸せに暮らせる国にしたいと僕は考えている。


 誰も住んでいない空き家を少し拝借して持ってきた衣装にフルチェンジする。

 この世界には魔法や精霊術がある。当然だけど、それらを活用した魔道具もある。

 その中に収納袋(インベントリ)があるんだけど……僕は空間魔法を使った収納(ストレージ)を使える。


「よし、ストレージ。」

「中身は衣装セット着用っと。」


 ポンっと取り出すとそのまま衣装を着用状態で取り出した。

 

「これで完璧!誰にも気づかれてないな。」

(この完璧な変装に誰も気づいていないはず…)


 街中に入ると相変わらず賑やかで明るい街に少し安心した。

 僕が最初に城下町に入った頃は人々にも活気は無く、店も閉めている状態を目の当たりにした。


 そこで変装と偽名を使って城下町を調べると王政が原因であることが分かった。

 重税を課し、民衆の意見は取り入れず、好き勝手にやった結果…民は疲弊し、我慢の限界を迎えようとしてた。


 僕は秘密裏に税務係や財政大臣を説明と説得をして城下町の質を上げた。

 貿易はその一環で港に近い我が国を貿易拠点として商人に触れ込みをさせ、流通網を構築した。


 結果として今の活気ある国が出来上がった。勿論だけど僕は裏方が好き…だから財政大臣や商業ギルドのギルドマスターを立たせる事で僕の存在を隠した。



 さて、皆さんと今日も世間話でもしますかね。この偽名を使って……


「よう!アドルフ…坊。元気か?」

「どうも、パン屋のレックさん。」


 ぐゔぅ〜。僕のお腹の音が思ったよりも大きくてビックリしていたらパン屋の店主が笑いながらできたてホヤホヤのパンを幾つか袋に入れて持たせてくれた。


「これ…お金を払いますから少々お待ち……」

「お代はイイから♪イイから♪」

「でも。」

「これはこの前の礼だよ!」


 そう言うと半ば強引に袋を押し付けるとニコニコとパン屋の店主は笑って言ってくれた。


「皆んなノル…じゃねぇ。アドルフ坊に世話になってるんだから気にすんな!」

「そうよ〜♪私んとこの果物も持っていきな?」


 果物屋のフレディーさんは以前、地主とのトラブルがあった際にアドバイスを少しした事がキッカケでこの辺に立ち寄るといつも果物をくれたりしてくれる。

(気持ちだからと押し切られちゃうんだよな…。)


「皆さんは今のこの街は住み良いですか?」

「そうだな…少しマシにはなったな!」

「私も……少しマシかも!」


「おい!ノル第二王子を見なかったか?」


 城兵が城下町に僕を探しにやって来たようで民に聞き込みをして回っていた。


「あ……マズッ……」

「なぁ、アドルフ…こっちから帰んな!」

「あ、ありがとうございます。また、来ますネ!」


 レックさんがパン屋の裏の出入り口からは城へ近道になっていた。

 草も自分より高くて背丈が小さいからバレにくいからバレる心配はなさそうだ。でも……

(何で城兵から逃げてるの…知ってるのかな?)


 まぁ、いいか!今回はレックさんのお陰で父上から大目玉を喰らわずに済みそう。


 しかし……

 

 大勢の人がマシになったと応えるけど…この帝国はまだまだ問題が山積みかもしれない。

 "国の成り得るは民の幸福"。


【コレが13才の頃の話である。】


 

 

 


 

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