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帝国の動向。

      ―ラスタード帝国側―

「レイチャード・グレイスが他国と何かを交渉していると聞いたが大臣…本当か?」


 皇帝ザリオン・ラスタードは玉座に腰掛け、大臣を見下ろしながら質問を始めた。


「はい、足取りは掴んでおります……」


 幾つかの小国に足を運んでいるようで……

『レスパト』、『マルトリカ』、『アマール』に入ったと報告を受けておりました。

 もう一つ、『マルトリカ』に向かう前に通過目的とは思われますが、大国【ノルウェル王国】で一日ほど滞在していたみたいです。


「うむ……」

(辺境伯程度であれば反乱になり得ぬか…。)

「まぁ、よい。監視をしつつ、泳がせておけ。」

「ハッ!かしこまりました。」


「次、報告せよ。」

「はい、報告致します。」


 レドリア魔森林付近での魔物や魔獣の活動が減っていると報告を受けております。

 今までに無い規模で減少傾向にあるらしく、異常現象だと……。


「魔森林だと…?」

「ハッ!調査隊を派遣しておりますが……」


 レドリア魔森林は我が国を始め、各国で協議の結果『不可侵領域』に認定しており、あまり侵入できないのが実情でして……。


「貴様は愚か者か?能無しか?無能か?」


 皇帝は頭を抱えながら大臣の一人を見ながらため息を吐いた。


「はぁ……」

「この国は帝国である。他の追随を許さぬ…故にこの武力を持って調べよ!他国など我が国の敵では無かろう?」

「ハッ!仰せのままに。」


「いや、まさか……な。」


 急に様々な場所で何かが動き始めておる…

関係ないにしても調べておいて損は無いな。


「我が息子…レオンを連れて来い!」

「レオン様はグラジアの町へ出向かれております」

「そうだったな…呼び戻せ。」

「ハッ!直ちにレオン様を連れて参ります。」


 わからぬ事を恐ろしいと思うのは本質か……



       ―次の日―

「父上、レオン戻りました!」

「戻ったか?」

「はい、早急にとの事だったので何かありましたでしょうか?」

「レドリア魔森林の調査を命ずる。」

「レドリア魔森林の調査でしょうか?」

「そうだ。何かあり次第報告せよ…以上だ。

 下がってよいぞ。」

「ハッ!拝命致しました。」

(何故、父上はあんな森を探れと命じられたのか)


 とにかく命令は絶対にやり遂げなければ…。

 魔獣が生息する危険区画と聞く…しかもあの弟を追いやった場所にまさか俺が向かうハメになろうとは……あの森に何があるというのか。


 父上は何を……


「まさか……ノルが生きているかの確認!?」


 最近、魔物や魔獣の減少報告は俺も知っているが、まさか……父上は生死の有無を……!?


「それだけは阻止しなければ…替え玉の死体を森で発見したことにするか……」

 

 

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