調書報告・01
「春の日にとんだ出会いだったな」
ミッチェルが笑いながら言うと神谷真理は舌打ちをして顔を歪ませる。
四年前と比べると随分と髪を伸ばした神谷真理は今やネックウォーマーも着けていないが代わりにその首には小さく点滅するランプがついたチョーカー型の機械が巻かれている。
「説明もしないし、準備も半端だった。世界トップの危険人物を集めた割には受け入れ体勢が杜撰だったな。それはそうと、ちーはもう少し綺麗にしてから連れてきてもよかったんじゃないか? 真っ黒だったろ?」
「あの頃のちーは言うことを聞かなかったじゃないか。……今もだが。下手にやれば暴れて死人が出た。それにその役目は君がすぐにやった。私がやらなくともね」
鼻で笑い飛ばして神谷真理は煙草、ではなく棒付き飴を咥えた。
それを見てミッチェルが笑う。
「少し前まで超が付くほどのチェーンスモーカーだった君がすっぱりとやめたものだね。ジャッカル戦の前だったか。皆驚いていたよ」
言われて彼は口に入れた飴を取り出してふるふると振って見せる。
「特に意味はないさ。長生きするのも悪くないと、そう思ったのさ」
神谷真理はそう言って、また飴を咥えた。
「話を戻そう。『あだ名付き』達と出会った君はその後」
「初任務へ行く」
「そうだ。『悪魔の王』と接触したことで『あだ名付き』すべてと遭った君は二日後、任務へ向かう」
「それも、とんだ初任務だった」
「では、それを語ってもらおう」
ミッチェルがコーヒーを差し出す。
神谷真理は飴にコーヒーかと言いながらそれを受け取る。
そして口を開く。
「あれは支援合流だった」