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白黒テレビ  作者: 七星北斗
1/1

1.始まりの怪異

「白か黒なんてどっちでもいい。本当に大事なことは、本物でありたいって思う気持ち、それだけだよ」


 姉は口癖のように、そう言葉を繰り返す。


 そんな自慢の姉が死んだ。


 通夜が今日行われ、現実味のない出来事だった。


 海外で遺跡調査をしていた姉は、殺されたのだ。人から恨みを買うような人間ではないので、動機が不明だ。


 その日は、眠れずにいた。


 明るくなった時間に、ようやく眠りにつく。


 太陽が南中した時間に「ピンポーン」と玄関の呼び鈴が鳴る。


 俺は、慌てて飛び起きる。


「橋本さーん、宅配です。いらっしゃらないですか?」


「はーい、今出ます」


 宅配のお兄さんに返事をして、玄関の鍵を開ける。


橋本正幸(はしもとまさゆき)さんで、間違いはないですか?」


「はい、俺です」


「サインをお願いします」


「わかりました」


 手渡されたボールペンで氏名を書く。


「では、これで」


「ありがとうございました」


 元気のいい配達のお兄さんの挨拶で、シャキッとする。


 何が届いたんだろ?


 送り主は、橋本蓮花(はしもとれんか)!姉さん?


 今さら何で…でも、箱の中身が気になる。


 ガムテープを剥がし、ダンボールを開く。


 箱の中から箱が、マトリョーシカか?


 更に箱を開けると、布で何かが包まれていた。


 何だこれ?


 包みを丁寧に開けると、刀!!まさか本物?


 刀を手に取ると、ずっしりとした重さが手に伝わる。そして鞘から刀を抜くと、洗練された白刃が覗いた。


「姉さんは、何でこんな物を?」


 そのタイミングで「じりりりーん」と固定電話から電話がかかってくる。


 誰だ?


「もしもーし」


「やあやあ、初めまして。僕の名前は、ラキて言うんだけど」


「誰!?」


「誰でしょ~」


「切るぞ」


「嘘、嘘。ちゃんと話すから、切らないで」


「で、何っ?」


「君のうちに、夜叉丸届いたでしょ?」


「夜叉丸?」


「刀の名前だよ」


「何で知ってる!?」


 何で、届いたばかりの物がわかるんだ!


「君のお姉さんとは、古い知り合いでね」


「はぐらかすな」


「その刀は、怪異を絶つ力を持つ」


「怪異を絶つ?」


 怪異とは何だ?新興宗教の類いじゃなかろうか?怪しい。


「怪しいと思ってるでしょ?なら足元見てみてよ」


「足元?何があるってんだよ」


 目線を下に向ければ、複数の腕が俺の足を掴んでいた。


「なんじゃこりゃ」


「やっぱり、ケラケラ」


「何なんだよコレ」


「それは、足つカミ」


「足つカミ?」


「足つカミ、足掴む神。その名の通り、古い神様だ」


「足を引っ張る神様?」


「違うよ。君が危険や不幸に、向かって進もうとしているから、足を掴んで引き留めているのさ」


 危険や不幸、何の話だ?


「これも立派な怪異だ。君が望むなら、夜叉丸で怪異を絶つことができる」


「怪異を絶てば、どうなる?」


「何も変わらないさ、そこに何もなかったてだけの話」


 にわかに信じがたい話だが、実際にこんなものを見てしまうと、信じるしかなかった。


 しかし危険や不幸から、守ってくれている怪異を絶つことは、果たして正しいことなのだろうか?

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