問。
小高い丘の上、生まれ育った集落が一望出来るその場所に。
幼い少年が一人、静かに立ち尽くしていた。
蒸し暑い夏風になびく髪を押さえつけ、光を宿さない黒より暗い瞳―――色濃い〝絶望〟を写した瞳の少年は。
ふと、考える。
―――――自分は、何故生まれてきたのか―――――
自分が生まれた意味を、生きる意義を、誰とも知らぬ誰かへと問う。
青く、ただどこまでも青く澄んだ空を仰ぎ、天に向かって―――
―――――人類は、何故生きるのか―――――
―――――この能力は、何の為にあるのか―――――………と。
何も知らない、無知で愚かな少年は―――だからこそどこまでも純粋に、率直に、思うままの疑問を口にした。
―――しかし当然と言うべきか、その〝問い〟に答える声はない。
その正解を見つけられた者など、今だかつて存在せぬが故に―――――。
この世で最も難解な〝問い〟は、その時点で〝答え〟が存在していないモノだ。
いくら調べようとも、その〝答え〟を知ることは出来ない。
―――――それならば、自分のチカラで見つけ出すまでだ。
世界の誰も知らないであろう〝解答〟。
だがセカイの何処かに、必ずあるはずの〝回答〟。
その〝真実〟を求めて、少年は今、ゆっくりと歩き始める―――――。
これが、全ての始まりだった。