4
更新が遅くなり申し訳ありませんm(_ _)m
レオンに出会った日から一週間──
ミナトはほとんどの時間をレオンの側で過ごしていた。
レオンは毎朝剣術の練習し学校へ行き、自宅に戻ると学校の勉強と領地運営の仕事をしていた。
レオンの父親は王宮で外交官の職に就いているため、レオンは卒業後、現在領地を管理している祖父から仕事を引き継ぐことが決まっている。
早く隠居したい祖父に小さい頃から運営に関する知識を叩き込まれ、今ではある程度の裁量が任されるまでになっていた。
そんなレオンの様子をこの一週間見てきたミナトは、いつか過労で倒れるんじゃないかと気が気でない。
ただ学校に行ってテストの前だけ勉強し、日々遊んだりダラダラ過ごしていた自分が恥ずかしくなった。
****
ミナトはどうすればレオンとソフィアが上手くいくか考え、まず王子とソフィアの距離を離そうと思いつく。そのためにはシンシアと王子の距離を縮める必要があり、とりあえずシンシアに1日付いて回った。
シンシアの見た目は本の通り、THE悪役令嬢だった。
髪は綺麗に縦ロールに巻かれており、化粧は濃く半径1m以内に近寄ると化粧や香水の匂いがキツい。
(これが香害っていうんだろうなぁ)
ミナトはなぜ誰も注意しないのか不思議だったが、周りの取り巻き令嬢たちが褒めちぎるため、シンシアは「お友達が……」と身近にいる侍女たちの意見を聞こうとしなかった。
レオンに協力してもらい、シンシアに1日だけで良いから試しにそれを止めてくれとお願いした。そして王子とのお茶会の日にミナトのアドバイス通り、準備をしてもらう。
髪は緩やかに巻きハーフアップ、化粧は薄くナチュラルに。香水はパルファムからオーデコロンに変更してもらった。
準備が終わり鏡を見たシンシアは抵抗したものの、お茶会から帰るとご機嫌だった。
定期的に行っている王子と二人きりのお茶会。
学園に通い始めてから距離を置かれるようになり、お茶会でも会話が続かなかった。
しかしいつもの装いを止めた姿を見た王子は学園に入る前を思い出し、昔より更に綺麗になったシンシアに言葉を失う。
そしてなぜシンシアを避け始めたのか教えてくれた。
1年半前の入学式の日、突如として髪型を変え濃い化粧をし、香水をつけ始めたシンシアに驚いた。学園内ではいつも同じように派手な格好をした令嬢たちに囲まれ、王子の惹かれていた優しく控えめなシンシアの姿が徐々に見えなくなったことがキッカケだった。
純粋で素直な性格のため、小さい頃から周囲の人たちの影響を受けやすかった。婚約者に選ばれた時から懸念されていたことではあったが、自分が守ればいいと王子は考えていた。
しかし常に一緒に居れる訳ではない。学園に入学後はお互いに交友関係を築かなければならないし、学業や王子、王子妃教育が始まったため二人で過ごす時間が減ってしまった。
その間に令嬢たちの影響を受けてしまったシンシア。
日に日に強くなる香水の匂い。
化粧や整髪剤と混ざり、近くに行くことを躊躇うようになった。
なぜそんな装いをするようになったのか尋ねると「仲良くしてくださってる皆さんがこの方が良いと言ってくださったんです」と嬉しそうに話をするので、何も言えなかった。
「今日は以前のシンシアに戻ったみたいで嬉しい。君の交友関係に口を出したくないから言えなかったが、ありのままで君は綺麗なんだ。もっと君のことを考えてくれる人たちに耳を貸してほしい」
何も言わずに避けてしまい申し訳なかったと謝罪し、これまでの溝を埋めるかのように長い時間2人で過ごし、以前よりも親密になれたとシンシアが嬉しそうに報告するも、レオンは姉のそんな話は聞きたくないと言わんばかりに、顔を引きつらせながらも最後まで話を聞いていた。
(他の小説で溺愛される悪役令嬢を真似てみただけだけど上手くいったな)
ミナトはそんな二人の様子を嬉しそうに眺めていた。
登場人物の年齢について
ミナト、レオン、シンシア、王子は16才。
ソフィアは15才、学年が一つ下になります。