祭り騒ぎに素敵な出会いを
#北海道某市
駅前は報道陣でごった返しお祭り騒ぎ。ただし目につくのは、ワイドショーや週刊誌の記者ばかり。それとヤジ馬。
電車を降りたミサエとトモミはUFOの目撃現場へと向かおうとするが、近づくにつれて狂乱は度を増していく。
地方にはありがちなことだが、これを機に村おこしをやろうという魂胆らしい。
玩具の円盤を売る屋台まで現れるに至って、ミサエは……キレる。
対照的にトモミは楽しそうだ。
ミサエ「バカバカしい。あたしホテルに戻ってるから。」
きびすを返して、一人でさっさと歩き去る。
ひとり取り残されるトモミ。
トモミ「ミサエちゃん!もーっ!」
#ホテルの部屋
またもミサエは平服のままベッドで寝ている。
部屋に戻ってきたトモミが土産をベッドの上に放る。2枚のTシャツに「OUT THERE TRUTH」、「THIRD ENCOUNTER」という文字がプリントされている。
いずれも、意味不明な和製英語。
ミサエ「アンタ何買ってきてんの?バカじゃない?」
西条 「ヘー、結構いい部屋じゃないか。」
見知らぬ客がいるのに気付き、警戒したミサエはベッドから飛び起きる。
客の顔を見るなり、ミサエのアドレナリンが一気に放出される。
繭を何処かへ持ち去ろうとした一団の隊長だ。ただし、今日はカジュアルな出で立ちをしている。
ミサエ「あー!!」
トモミ「なになに? ミサエちゃん、この人知ってるの?」
ミサエ「バカ!こいつは敵よ!!」
トモミ「えっ!?」
ミサエはブーツに仕込んだナイフを抜いて構える。急場の事でこんな武器しかないのが悔やまれる。
西条 「もう敵じゃないよ。」
ミサエ「どうでもいいよ。とっとと出ていきな!!」
西条 「クビになったんだ。この前の失敗でね。」
トモミ「ワタシ、よくわかんないんだけど。」
ミサエ「アンタは黙ってな! じゃあ、なんでこんなトコにいるのさ。」
西条 「ヒマだからね。独自に調査に来たんだ。そしたらこのお嬢さんに声を掛けられてね。」
ミサエ「なんで声なんか掛けたの!?」
トモミ「だってー、ちょっとカッコ良かったからー。」
ミサエ「バカ!!」
トモミ「でもでも、取材に来た記者だって言ったんだよ。だから何か情報もらえるかもって思ったんだもん。」
西条 「取材に来たとは言ったけど、記者だとは言ってないよ。」
ミサエが大きな溜息をつく。
西条 「いいじゃないか。君らだって調査に来たんだろ? 一緒に組まないか。」
ミサエ「間に合ってんだよ。失せなスケベ野郎!!」
トモミ「でも、まだ何の手掛かりもないし……」
ミサエ「頼むから、アンタ喋んないで。」
トモミ「ねぇ、あの話してみたら?」
西条 「そうだな。これから目撃者のインタビューに行くんだ。一口乗せてもいいぜ。」
ミサエ「意味ないね。こんな騒ぎガセに決まってるじゃないか!?」
西条 「それじゃガセだって証拠がいるな。手ぶらで帰るわけにはいかんだろ?」
トモミ「ねえ、ミサエちゃん。悪い話じゃないよ。乗せてもらおうよ。」
言い寄るトモミを押しのけて、
ミサエ「もしヘンな動きを見せたら、喉笛かっ切るわよ。」
西条 「決まりだ。俺は西条。君らは?」
ミサエ「ミサエ。こっちはトモミ。」
西条 「本名かい?」
ミサエ「偽名に決まってんだろ!!」