のんびり戦闘支援
助っ人っていうくらいだから、ボルバンは強いだろう。
ジルヴァたちは……たぶん、強い。
自分たちの長所と短所を理解しているところが期待できる。
猫人族ならではのスピードを活かした戦法が得意なんだそうだ。
そしてあまりにも防御力の高い相手は苦手、と。
よし。
俺は術式による支援だな。
そして。
「……来るよ。右奥から、まずは一体」
出た、ゴーレム。
猫人、斥候役もいい感じ。
とりあえず、味方に補助でもかけるか。
でも能力変化は向こうも困るかもしれんな。
うん、“10分間、体力がそこそこ回復し続ける”術式でいこう。
これなら邪魔にはならないだろう。
「うぉッ!? こりゃあ……おぉー。いいな、コレは」
「にゃは♪ これなら余裕で勝てるかも? いやいや、勝てるっしょ!」
ふむ。
塩梅は良さそうでなにより。
ゴーレムの本来の倒しかたは、ひたすら殴るのが正解なのだとか。
傷を付けると魔力を消費して再生するので、それを繰り返して弱らせる。
動きが鈍り、防御力が下がったところを分解する。
ある程度バラバラにすると魔獣としての活動を停止、そのまま素材としてお持ち帰り。
と、いうことは。
最初から分解しちゃえば楽ってこと?
よし。
それじゃあ“斬撃に対する防御力を1割まで低下させぇ……ろ魔獣として活動している間だけ!”
「お? デュラン、ヤツに何を? ……ほう、斬る攻撃への抵抗を下げた。そりゃいいやッ! ―――チェストォォォォッ!」
「「おおッ!」」
おおッ!
縦に真っ二つ!
すげー、見事に両断したなぁ。
倒したゴーレムは関節のところから分解するとのこと。
それはいいが……。
「何? ゴーレム鉱石にナイフを刺せ、だと?」
俺が心配しているのは、この状態まで斬撃耐性が低下していること。
素材は加工されて武器や防具になるらしいので、それでは困るだろう?
なので、猫娘の一人に頼んで確かめてもらう。
「そういうことならば、どれ……フッ! ……見ての通り、問題ない」
金属音と無傷の素材。
よしよし。
3匹ほどゴーレムを倒して街へ戻る。
俺が要求した報酬は貸しひとつのはずなのだが。
「依頼の納品の余りだからね。一緒に戦ったんだもん、山分けしないとダメだよ?」
売却したぶんのお金を貰ってしまった。
これで断るのはハンターに対して非礼だとボルバンに言われたので、素直に礼を言って受け取った。
さて、蝶のそよ風に向かってもいいけど……ハラ減ったな。
「おいデュラン、このあと飯でもどうだ?おでんの美味い店があるんだがよ」
おでん。
それはアレか? 魚の練物やらたまごやらを醤油で煮たあのおでんか?
「おう、そのおでんだ。いい稼ぎになったしな、一杯くらい奢ってや……へ? 酒は飲まない? はっはっは! 大丈夫だ、その店は酒精の無い飲み物も措いているからな。よし、決まりだな!」