ゆるりと雪原へ狩りにでも・その2
熊だな。
シロクマさんが現れた。
目がランランと真っ赤ちゃん。
あれも魔獣かぁ……。
「肉はもちろん、内臓も美味いぞ。量がとれるから買い取りは安いがな、そのぶんプロミネーズ領では親しみのある食材だな」
キルシアにはアレはすでに食材に見えているようだ。
あ、違うや。
ジンガーもニヤニヤしてるわ。
しかし……地元の味とな?
それは是非ともゲットすねば!
じゃ、シャルミール。よろしく。
「はいッ! ……はい? え、私がアレを倒すんですかッ!?」
いやいや、牽制してって話。
簡単な攻撃術は使えるんでしょ?
キルシアやジンガーが手を出したらすぐ終わるからね。
うん。
アールヴューレ、勘違いは誰にでもあるでしょ?
笑うんじゃありません。
「じゃ、じゃあ……いきます! 炎の矢ッ!」
「―――ッ!?」
ヘッドショット!
なかなかやるねぇ~。
よろけたところを弓矢の追撃。
完全に無防備。
剣の一撃で頭がポトリ。
なかなかいい連携じゃない?
男ふたり、なんにもやることなかったな!
「そんで? お前さんから見てシャルちゃん、どうよ。もちろん術師としてのハナシな?」
術師としては悪くない……と、思う。
思うけど、いかんせん俺の術式は我流だからなぁ。
普通の術師の感覚を知らんよなぁ。
「ふーん。そうか、お前、術師協会にすら入ってないって言ってたもんな」
ただ。
やはり式陣にムダがチラホラ。
見た目は“いかにも”で強そうなんだけど。
あれだ。
余計な部分に通すぶんの霊気がムダになってるんだよね。
「そうなのか? だったらお前が教えてやったらいいじゃん。付いてくるのを許したくらいだ、面倒みてやるのもイヤじゃないんだろ?」
それはダメ。
ケチとかそういう話ではなく。
これから学校で勉強するのに、余計な知識を入れるべきじゃない。
間違いなくシャルミールが苦労することになる。
ここに来る途中、グローインド王国で術式に関する本を購入して読んでみた。
まだまだ式陣について研究段階。
そこに女神さまの加護を介入しちゃうのは……ちょっと、ね。
フィンブルム王国では遠慮なしに色々使ってたけれどね。
要・反省。
さて。
そんな男同士での雑談の間。
二匹めのシロクマくんの首が落ちた。
熊二匹ぶんのお肉。
量、パネェ。
んー、とりあえず解体しちゃいましょうか!




