まったりダンジョン日和
洞窟探検、再び。
地元のハンターからは“ゴーレム空洞”と呼ばれているらしい。
つまりメインディッシュは奥にいたゴーレム。
お金にするかは別として、溜め込むのもアリだろう。
おや。
入り口に人の跡が。
焚き火は水でしっかり消火されている。
けど、魔力と霊気の気配が残ってる気がする。
どうしようかな?
たぶんあの街を拠点にしているハンターだろうと思う。
交流を……うーん。
いや。
ここで渋るくらいなら山奥に引っ込んでおけよ、ってハナシ。
よし。
気さくな人だといいな。
洞窟の中を進むことしばし。
トカゲの縄張りからゴーレムの出現エリアへ。
お。
「……ん? おおッ! 誰かと思えば……確か、デュランだったか? 奇遇だな!」
鬼人。オーガか。
わかりやすいパワータイプの見た目。
しかし、なぜ俺の名前を?
「モーリィの爺さんが勧誘してるとこを見てたもんでな。おっと、俺も名乗らないと不公平だな。ボルバン……ボルバン=サーバインだ。よろしくな!」
握手を求められたので素直に応じてみる。
いかにもベテランって感じ。
それで、後ろのネコミミ女子たちは同じチームなのかな?
「いや、俺は基本ソロで狩りをしている。頼まれたときだけ助っ人やってんだ。後ろのはクラスB・ランク11のパーティー、ブレイドテールの連中だ」
クラスB。
たぶん、強いほうかな。
ハンターのクラス分けとか全く見てなかったからな。
「ブレイドテールのリーダー、ジルヴァだよ。モーリィさんが勧誘したってことは、アンタもけっこう強いのかな?」
ぶっちぎりで世界最強だろうな。
なんせ女神さまのご加護だもん。
もちろんそんなことは口が裂けても言いはしないけど。
とりあえず、魔獣を倒すだけならそれなりだと言っておいた。
「ふーん……ねぇ、それなら私たちの依頼、手伝ってよ!」
ブレイドテールの受けた依頼はゴーレムの素材回収。
なんでもゴーレムタイプとの戦闘は初めてらしく、報酬が減るのを承知で安全策……ボルバンに助っ人を頼んだ、と。
その流れだと、俺にも報酬は出るのかな?
「最低でこんくらい、で……まぁ、活躍してくれたらボルバンさんと同じくらいは出すよ」
ふむ。
悪くない。
悪くないけどお金は困ってないんだよな。
「お金以外で? うーん、そう言われてもにゃー?」
悩むジルヴァ。
そうだな……ハンターに助けて欲しいこと、か。
うん、思いつかない。
よし。
依頼を一回だけ格安で受けてもらおうかな。
「お、いいね。それで貸し借りナシって? オッケーオッケー! それじゃよろしく!」