ぼちぼち生活の糧を・その2
翌日、朝。
クラスDのパーティーがふたつ。
ギルドの職員の女性がひとり。
クラスCのハンターがひとり。
なかなか賑やかな道中になりそうだな。
……。
賑やかな。
まぁ……賑やか……かなぁ。
「カッカッカ! ま、どっちも気の強いヤツがリーダーやってっからな。こうなるだろうと思ったよ」
楽しそうに笑うクラスCハンター、ジンガー。
犬人族らしく五感と素早い身のこなしがウリのレンジャータイプ。
パーティーが装備の修理待ちで活動をお休み中。
小遣い稼ぎで同行しているとのこと。
んで。
前方ではどっちがリーダーに相応しいか勝負中。
「困りましたねぇ。こうならないように、複数のハンターが一緒になるときは、ランク上位のハンターがまとめると決まっているのですが」
一応、俺、護衛対象。
そんな俺を放置して魔獣狩りに勤しむハンターたち。
「リーダー争いで揉める。マイナスだな。そして護衛対象をほったらかし。これもマイナス。いやぁ、事前にデュランが依頼を出してくれてよかったな!」
ちなみにこの依頼。
昇級試験の訓練を兼ねているとはいえ、正式な依頼に違いはなく。
このふたつのパーティーはランクが下がるのは確実だそうな。
自業自得なんだろうけど……ちょっと可哀想かな?
でも、ギルドの、ハンター全体の信用問題と言われれば、俺はなにも口出しできないね。
ま。それはそれとして。
とりあえず……2本でいいかな?
ジンガー、よろしく。
「霊気で、術式で作った氷のナイフか。なかなかの出来じゃないか。これなら問題なく使える―――なッ!」
それはよかった―――よッ!
「―――、―――!?」
魔獣・小型四足種、ホワイトバニー。
見た目は白いウサギさん。
雪に紛れて接近して襲ってくる。
攻撃力は低く、霊気のガードを破ることはそうそうない。
ただし、それは戦闘濃度まで霊気を高められるなら。
ギルドのお姉さんは襲われたら危なかった。
「フフッ、なんだか私が護衛されているみたいですね。お二人とも、頼もしくて気楽ですよ」
いよいよ誰の何の依頼かわかんなくなってきたな。
「プロミネーズ領のハンターたちの名誉のために言わせてもらうが、ちゃんとまともなハンターもパーティーも大勢いるからな?」
大丈夫。
さすがにそこまでひと括りにしないよ。
……。
温水湖、到着。
護衛のクラスDパーティーたち、離脱。
今度は魚釣りで勝負なさるそうで。
もちろん俺たちは放置。
俺としては目的を果たせているので不満はないけれど……。
あーあ。
ギルドのお姉さん、悪~い笑顔してますよ?
「さすがにここまでたぁ、俺も想像できなかったな。まぁ、これも勉強のウチってな。諦めて罰則を受けてもらうだろうさ」
教訓。
目的を忘れるな。
俺も気を付けないとねぇ。




