表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/306

まったり共同生活開始・その3

 まずは凍ったミルクの塊を砕く。


 いくら術式があるからといって、そのままじゃ時間がかかる。


 鍋は備え付けをお借りしまして。


 えーと?


 コンロは魔導水晶と薪と両方あるのか。


 ふむ。


 ここは術師らしく。


 指パッチンで炎の蝶!


「「おぉ~~!!」」


 子どもたち、おばちゃんたち、くつろいでいたハンターたちも。


 けっこう驚くな?


「術式を日常生活で使うというのは、な。戦闘が全てとは思っていないが、せいぜい建築現場ぐらいだと思ってたからな」


 ちょっと意外。


 でもまぁ、一般家庭の生活なんて知らんかったからなぁ。


 そうか、日常生活で使うような術式はないのかぁ。




 その辺のアレコレは後でじっくり考えよう。


 今は目の前のホットミルク。


 沸騰させないように、丁寧に温めまして~。


 取り出しますは小さな小瓶。


 ……小さな小瓶って頭痛が痛いみたいだな。


 小瓶の中身を鍋にパラパラ~っと。


 クリーム色の液体が明るい茶色に。




 うむ。甘い良い香り。


 子どもがいるからね。


 コーヒーよりは、ココアで―――




「「チョコレートッ!?」」




 うおッ!?


「デュラン、お前、そんな高級品を持ち歩いてたのか?」


 高級品?


 ……。


 えー。


 ルジャナ帝国ではチョコレートは非常に高級な嗜好品なんだそうな。


 国内では生産されず。


 国境を越えて商人たちが持ち込むモノが全て。


 帝都の貴族……どころか、皇帝の一族もそうそう口にできないのだとか。


 そんなに値段が……え、違う?


 輸送の問題?


 はぁー、なるほど。長旅で劣化しちゃうのね。


 商人としては、劣化した品物を立場ある人たちに納品するワケにはいかないよ、と。




「ウワサでは、それでもいいから食べたがっていると聞くがな。だが余計な前例を作るワケにもいかんだろう? そこに関しては貴族たちのほうが気楽にしているな」


 そして貴族が購入したチョコレートが平民にお裾分けされるんだそうな。


 ミルクに溶かしたホットチョコレートを近隣に振る舞うのが貴族の嗜みと。


 ほー、いい習慣じゃないか。


 稀少価値のある物だからこそ、みんなで、か。


 俺がイメージする貴族とは違うな。




 しかし。


 そこまで喜んでくれるなら、他の人のぶんも。


 まだ帰ってこない働くお父さんたちやわんぱく小僧ども。


 でも俺も荷物整理したい。


 ここは奥様たちにココアの瓶をお任せしましょ。




 あ、コラちびっ子。


 直接食べようとするんじゃ……ほら、シャルミールに怒られちゃったよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ