まったり共同生活開始・その2
雪国の倉庫、すなわち天然の冷蔵庫なり。
子どもたちはちゃ~んと防寒具を着ております。
俺は服に仕込んでるから問題なし。
「使用頻度の高いものは共有スペースに置きます。ミルクやジャガイモ、トマトなんかがそうですね。個人的な買い物だったりするものは、向こうのカギ付きのロッカーを使ってください」
みんなで食べるものはみんなで管理。
あとで買い足しておくなら使ってよし。
ふむふむ。
俺、忘れそうだな。
なるべく外から買ってくるかな?
「うんうん、ついうっかり忘れちゃったりするよね! でもさ~、ワザとじゃないのにシャルミールってば、すぐに怒るんだよ~? 怒りんぼさんだよ~!」
「それはアナタが何度も繰り返すからでしょう! まったく……デュランさん、ミルクはこの包みですよ」
ほう、この包みに。
……包みに?
厚手の布をめくってみれば、そこにはレモン色の棒状の物体が。
あ。凍ってんのか!
女の子たちは俺の驚きが理解できてない様子。
いや、他の国なんかだと液体の状態で瓶で売って……そんな驚かなくても。
これがカルチャーショックってヤツなんだろうか?
さて、魔獣のミルクですよ。
どんなものか、ひと口試してみなければなるまい?
霊気のナイフでちょこっと切り取る。
それを風の火の術式で。
溶かして。
丸めて。
温めて。
指先にフワフワ浮かぶホットミルクの玉。
パクっとな!
……。
口に入れた瞬間はアッサリ。
でもトロリと広がると程よい脂肪分と甘みを感じる。
後味はスーッと消えていくのでスッキリしてる。
でも、お腹に落ちると心地好い質量が満足感。
一言でいうなら、美味い。
これなら思った通りの……ん?
「デュランくん! デュランくんッ! わたしも! わたしにもやって~ッ!」
「じゅつしき! ミルクのじゅつしき! おもしろい!」
「なーなー、いいだろー? アンちゃんだけズルいぞー?」
どうやらお子さまたち、ミルク玉が気になるらしい。
「スゴい……あんなに自由自在に霊気を操るなんて……」
真面目キャラのシャルミールも興味津々?
よろしい。
ならば体験させてやりましょう!
「「おぉ~~!」」
少しだけ術式を変えた。
イメージとしては、ミルク玉の外側にテニスボールくらいの透明な膜があるような。
それぐらいの空間を保ちつつ、子どもたちが自由に動かせるように。
味はなんにも変わらないハズだけど……わかるよ。
子どものときって、見た目が変わるだけでとテンション上がるよね!
この時点で楽しんでくれている。のは、いいんだけれど。
本命はこれからッスよ?




