ばっちり狩りの時間
「―――、―――。」
出てきたのはゴーレムみたいなヤツ。
動きは鈍そうだが、歩くたびに振動が伝わってくるし。
……ふむ?
よく見るとコイツも微妙に光ってるのか?
蛍石が混ざってるのかな。
さて。どうしようか?
普通に即解体でもいいのだけれど……ちょっと、試してみる?
防御系の祝福から、動きの速さを外して……と。
さぁ、殴ってこいや~。
「―――、―――。」
……うひゃあ。
何とか避けられる、けど。
けど、コレ、魔導水晶取り込んでなかったら危なかったかも。
『そりゃあなぁ。戦いとは無縁じゃったんやろ? ちぃ~とばかし動けるとしても、そりゃ勝手が違うんのも当たり前じゃて』
ごもっとも。
うん、本体もぼちぼち鍛えるようにしておこう。
女神さまの加護が無敵……なのかはわからないが、そうだとしても俺がミスをすれば意味がない。
ま、後でね、後で。
今は……。
「―――、―――!?」
はい、終わり。
ナイフ一本サクッと投げておしまい!
あ、コイツは血とか出ないのか。
いわゆる、無生物系とか、魔法生物系ってヤツかね。
素材にはなるけど食材にはならないようだ。
さらに奥に進み、ゴーレム狩りを続行。
所々に人の名残というか……冒険者、ハンターが捨てたゴミっぽいものが落ちている。
つまり、この辺りはあの街のハンターが普通に狩りをしている場所という証拠。
これ、大事。
よくあるパターンだもの。あの「まさかドコドコに住んでいるナニナニを倒したのですかッ!?」ってヤツ。
あれはよろしくない。
成り上がり目標ならともかく、今のところそんな予定はない。
慎重に、慎重に行動しないとな!
………。
……。
…。
で。
ハンターズギルドで換金してもらうのだけども。
一応、洞窟の浅いところにいたトカゲたちの魔導水晶だけを買い取りに出しました。
受付の若いエルフのにいちゃんがちょっとだけ驚いていた。
よし、ゴーレム出さなかったの正解だな。
なんて油断してたら……。
「初めまして、じゃな。ワシは買取査定を担当しとるモーリィという、見ての通り風人族のジジイじゃ」
風人、シルフとかその辺か。
愛嬌のある好々爺って感じだが……。
「先程のリザード系の魔導水晶を納品したのはお前さん……あぁ、名前を聞いてもかまわんかね?」
名前。名前ね。
デュラン。
デュラン=ダール。
ファンタジー系ゲームでお馴染みの武器、デュランダルから拝借。
こういうのはオリジナリティー出そうとするより、先人に倣うのが手っ取り早い。
「デュランさん。うむ。でな? デュランさんよ、あんた、ハンター登録せんかね?」
おう、もちろんお断りです。