ゆるりとダンジョンへ
「お兄さん、顔、隠すのは理由があるのかい?」
特にないけど?
「ふーん。けっこう整ってるんだし、わざわざ隠すことないのに。……ま、確かに二十歳過ぎてるようには見えないケドさ」
ベースが日本人だからか。
若く見られるのは構わない。
ただ、生きていくには多少のハッタリも必要だろう。
「なるほどねぇ。それであんなフードを。でも、あんまり怖い雰囲気は出てなかったよ。そうじゃなきゃワタシも声かけなかったし」
さすがは娼婦、人を見る目は鍛えられてるようだ。
ふーむ。
ハッタリ、なにか考えないとな。
いちいちトラブルを殴り合いで解決するのも面倒だ。
朝風呂済ませ、娼館を出て。
ハウリアから熱烈なリピートを希望された。
しかしそのためにはお金が必要で。
と、なれば。
魔獣を狩るポイントは生活圏から離れた場所。
森や山、あとはダンジョンだ。
ダンジョンには管理されているものと天然ものがある。
管理されている場所には転移装置的なものがあるようだ。
が。
利用するにはメンバーカードが必要。
ハンターギルド、商人組合、術師協会などなど。
どれにも属さない俺は使えない。
と、いうわけで。
街を離れた、森を進み、天然のダンジョンへ。
オーソドックスな洞窟を見つけた。
ハンターの出入りはあるらしい、入り口付近はそこそこ地面が平らになってる。
キャンプの跡もある。
中は……なんか明るいな?
壁?
含まれている鉱石が魔力に反応してぼんやり光ってるのか。
蛍石、ねぇ。
前世でも聞いたことあるな。
一応、祝福アクセサリー作っとこ。
暗視対策よし!
出てきた魔獣はトカゲタイプ。
ちょっと湿っぽい洞窟なだけに、爬虫類みたいな魔獣が多いのかな。
せっかくなので、ナイフ投げの練習しながら奥へ。
命中率は3割より少し上くらい。
訓練無しと思えば上出来じゃね?
どこにでもドアーで作った空間で休憩しつつ奥へ進むこと二時間くらい。
お、エリア切り替わったな?
魔力の雰囲気、変わった。
おー、俺でもわかるとは。
ちょっと感動……いや、素人でも気付くくらいにヤバいってこと?
……あ、なんか……うん、出てきた……。
次回から気を付けよう。