まじめに調査活動・その1
手伝おうか、とは申し出たものの。
なにも情報がない今の俺たちにできることはひとつ。
現場に戻る。
これだけ。
昨日、鉄ゴーレムを倒した場所にはすでに先客。
どうやら戦闘もあったらしい。
「いい稼ぎになったぜ! ……って、素直に喜べりゃよかったんだけどさぁ」
ゴーレムが徘徊するヤバさ。
それを知ってるだけに、ただ喜んでる場合じゃないってか。
うん。
いい連中じゃないか。
さて。
なにをしたらいいのかわからん、そんなときは。
『ワシの加護の出番じゃな! ピンポイントで、ゴーレムがダンジョンの外に出た原因を探知すればよいな!』
こんなこともあろうかと、フードの下に眼鏡を装着済みよ!
さてさて~?
……。
おや。
「なになにー? なにか見つけたのー? さすがぁ~」
ナイフで地面をザクザクと掘り返す。
中から出てきたのは……。
「えーっと、それは、箱……ですか?」
箱……ですね。
さて、その正体は?
サーチ!
ふむふむ。魔力の流れを変える装置的な。
とりあえず刻まれた術式を展開。
別に必要ではないけれど、調べてますアピール。
で。
「ソイツで魔力の流れを作ってゴーレムを外に誘導したのか。誰がそんなことを……は、考えるまでもねぇな」
特にスノール領のハンターにしてみれば、悩むまでもない。
ブルム帝国の工作員。
そう考えるのが一番自然だね。
しかし、こんなものひとつで……いや。
他にも反応?
向こうにも、か。
「ん? ああ、この先を道なりに行けば鉱脈ダンジョンに続いてるけど……そういうことか。なら、俺たちも協力するぜ!」
「だな。アンタはその箱を探すのに集中してくれ。なーに、これだけのハンターがそろってんだ、魔獣なんざ何が来ても敵じゃねぇからな!」
パーティー追加でゾロゾロと。
お大尽気分ですなぁ。
箱を回収しながら鉱脈ダンジョンへ。
戦闘、なんにもやることなし。
むしろよくまぁ、こんだけハンターいるのに魔獣も襲って来るもんだ。
それとも、ゴーレムがそうであるように、ほかの魔獣も……?
後でゆっくり解析してみるか。
何かに使えるかもしれないし。
ダンジョン入り口でさらにハンターたちと合流。
………よし。
昨日の連中はいないな!
「そこの術師サンが、かくかくしかじかで」
「まるまるうしうし、ね。その手に持ってるのが……って、多いわね……」
手に持ってる?
否。
これは、両手で抱えるというのだ!
道なりにもだけど、道から外れた場所にもけっこう埋まってたんだよね。
「アタシたちはダンジョンに異常がないか調べに来ててさ。特に変わったフンイキは無かったんだけど……誘きだす、ね。ははッ! ……やってくれんじゃんよ」
おー、こわっ。
でも気持ちはちょっとわかる。
誰だって自分の住んでるところ、それを他人に荒らされたらムカつくだろうし。
今後どうするかはともかく。
今はギルドに戻ろうか、と決定。
そして相変わらず俺はVIP待遇。
ここまでくると申し訳ないんだけど……まぁ、いいか。




