ぼちぼちお金稼ぎ・その2
よし、帰ろうか。
「おい、いいのか?」
現地の人に帰れって言われたら帰るしかないべ。
「まぁ……正式な依頼ではありませんから、特にペナルティはありませんが……」
なら問題なし。
俺たちの一番の目的はお金を稼ぐこと。
ここまでの魔導水晶と、帰りは素材も持って帰れるし。
それなりの稼ぎになるでしょ。
「えぇ? でもでも! ガノッサさんとの約束は……」
ありのまま伝えるだけだよ。
門前払いくらったって。
俺は悪くねぇ。
帰る背中にヤジを飛ばされたのはムカついたが、我慢。
ここで力を見せ付けて……なんて短気を起こしてはいけない。
一緒に来てくれたみんなには悪いとは思うんだけど。
「私たちは別にいいけどねー。でもアレだね。厄介な魔獣出たってわりにはさ、なんか余裕ある? 感じだったよね」
つまりはそういうことなんだろう。
まだ深刻な問題は何も起きてない。
なら、俺が気にかける必要もないんじゃない?
そして帰り道。
魔獣を狩りながら中央区を目指しているのだけど。
………。
プロのハンターの意見を聞いておこうかな。
ゴーレム系って、森の中も歩くの?
「ごく稀にですが、ダンジョンを抜け出す個体がいる、という話なら聞いたことがありますな。こうして実際に遭遇するのは、私も初めてですが」
ゴーレムが歩いている。
黒……いや、深い緑……じゃない。
銀?
鏡みたいに風景が写りこんで、それで黒っぽく見えるのか。
それが3体。
よし。
ひとつはブレイドテールに任せた。
「おっけ~! おにーさんの援護があればよゆーよゆー♪」
いい返事だコバルトちゃん。
しかしおにーさんか。
おじさんじゃなくてよかった。
もうひとつはワイルドファングとザグリアさんで。
「ご、ゴーレムか……よし、よし! 私たちだってクラスCのハンター! ゴーレムくらいやっつけちゃうぞ!」
「私もサポートしますから、緊張せず、油断せず参りましょう。ですが……よろしいのですか?」
はい、よろしいのですよ。
最後の一体は俺がやっつけちゃうぞ!
まずは味方を。
全ステータスを10パーセント上昇!
そしてスタミナ消費を7割に!
これ以上の補助はハンターが困惑するから自重!
次に敵を。
斬撃耐性を1割に!
素早さを……は、いらないか。
コルキュアス領のゴーレムに比べてさらに鈍い。
身体を構成する鉱石の違いだろうか?
そのぶん、攻撃力高いのかも。
ま、油断だけ気をつけてね!
いくぜ相棒、フローライトッ!
………ナイフの名前だよ!




