のんびり野営模様・食事とか
森を抜け、荒地を進む。
この先に湿地があって、そこに生息する植物系が一番狩りやすいのだそうな。
ちなみに進行方向は東。
海側は後の楽しみにと、こっち来てなかったんだよねー。
「あまり進みすぎると東方ウィンタウス領に入る。お互いの縄張りには遠慮するのがハンターのマナーでもある。ただ、依頼内容次第だから絶対ではないがな」
ちなみに俺はハンターではないので気にすることはないらしい。
魔獣の乱獲は控えて欲しいと釘を刺されたけど。
うーん。
ついつい素材をキープしてるけど、ほどほどにしたほうがよさそうだ。
適度に金に変えて、欲張らないよう気を付けよう。
さて。
お楽しみの野営の時間でござーる。
さすがというかなんというか。
けっこう現地調達なんだね。食べ物とか。
基本は魔獣の肉を食べるようだ。
持ち運ぶにも重いし痛むしで、依頼でなければ納品することはあまりない、と。
あと、水。
川の水を炭や砂をいれた布でろ過してる。
それを煮沸して、と。
失礼ながら、丁寧だなと感心しちゃったよ。
「駆け出しのハンターがそのまま川の水を飲んで、腹痛でアラたいへ~ん……なーんて、それも風物詩ってね!」
丁寧ってか生きるために必須か。
肉。
シンプルに焼く。
調味料はあまり持ち歩かないらしい。
腹が満たせればそれでよし。
長期間の旅ならともかく、今回は行きと帰りの2泊ほど。
ふむ。
それではカバンに手を入れて~。
祝福!
「お? その瓶は何だ? ほう、焼いた肉にかけるソース。どれ、俺にもちょっとくれよ!」
そのつもりで出したからね。
口に合うかわからんけど、気に入ったならタップリ使ってええよ。
「ありがとよ。どれ……ニンニクとトウガラシの匂いが美味そうだな……んぐ……。ッ!?」
いい、笑顔です。
日本の焼肉のたれを口にした竜人のおっさん、表情が全てを物語ってるわ。
焼肉のたれ、好評。
イメージ的に、エルフとかシルフとか、あとネレイドなんかは微妙な反応するかと思ったんだけど。
「商人や術師ならそうかもな。俺たちは身体を使う仕事だからな、味が濃いのは好きだよ。それにしても……これ、美味いな」
「醤油をベースにして、ニンニクとトウガラシ以外に……すりおろした野菜と果物? あとは少しだけ香辛料。これなら私でも作れるかしら?」
あとでいくつか瓶で譲るといったらメッチャ喜ばれた。
日本の食品技術は次元を越えても通用する。
さすがだぜ……ッ!
あ、ハンターたちには旅の途中で見つけた資料を元に再現したものと伝えた。
そこは、ほら。
メーカーの開発部の人たちへ敬意を込めてね、手柄の横取りはイクナイ。