がっつりバトル! クラスS・銀剣の乙女
最初の一手。
それは……無視。
6人を放置して王都のほうへ向き直る。
『おいおーい! ワシの加護を試すんじゃなかったのか!?』
試すよ?
試すけど、仕掛けるタイミングがわかんないんだもん。
『あ……そういや平和なトコから来たんじゃったね』
「……ずいぶん余裕だな。まぁいい。遠慮なく始末させてもらおう」
まぁ、物騒。
よっしゃ来いやぁ……って、お前じゃないんかい。
後ろのヤツが仕掛けてきた!
あ、フェイントってヤツか。
「―――ッ!? へぇ、いい反応するじゃねぇか」
いい攻撃するじゃねぇか。
とてつもなく速い斬撃、俺は余裕で見逃しちゃったね!
コートを祝福して“敵対者の能力を加算する”特性を付与してなかったら終わってたわ。
「どうやらただの身の程知らずではなさそうですね」
「うむ。皆、油断するな。本気でいくぞッ!!」
せっかくなので、武器を。
予め身に付けていた指輪を、紅いクリスタルをイメージしたナイフ二本へ。
逆手にね、アサシンスタイルだしね!
で、とりあえず手合わせ開始したんだけど。
剣士の三人のコンビネーション、その隙間を埋める弓矢の援護。
そして。
「大地の縛鎖ッ!」
「拡散する雷光の槍ッ!」
きたきた~、It'sファンタジ~!
地面から鎖がズバズバッと伸びてくる!
分裂した雷の槍が雨あられと降ってくる!
うーん、異世界バトルだなぁ。
「……はッ! やるなッ! 面白い、そうでなくてはなッ!!」
リーダーっぽい、えー、犬系のお姉さん。
めっちゃヤル気出てますね。
あ、全員?
さすがクラスS。
皆さん好戦的だぁ~。
とりあえず、防御は大丈夫。
問題は攻撃だな~。
手加減すると掠りもしない。
けど、本気でやったらナイフでもデストロイしちゃう。
『そうじゃねぇ……技でも作るとかどうじゃろ? 技を祝福して、命は奪わず身動きを封じるようしてみるとか』
そんなんできんの?
技って……概念もお構い無しかよ。
女神さまがリミッター付けてくんなきゃ、マジでえらいことなったりすんじゃん!
とりあえずナイフを握り潰す。
意味はない。雰囲気だけ。
『ワシもサポートするけぇ、イメージを強くな。どうせならバリッと決めちゃれや!』
イメージ。
よし。
仮面にもあるサソリでいこう。
俺はサソリの暗殺者。
いや、殺さないけどさ。
猛毒。
猛毒のイメージ。
一撃で、自由を奪い尽くすサソリの猛毒!
最初のターゲット。
そらもう当然、回復を使える……だろう魔術師系。
「きゃあッ!?」
「うわッ!?」
まず二人。
「速――距離を―――ぐぅ……ッ!」
アーチャー、沈黙!
「キサマぁッ!!」
「てめぇッ!!」
「このォッ!!」
剣士たちが飛びかかってくる。
フフッ……普通に怖い。
『まぁな~。どれだけ祝福で底上げしても、そら怖いもんは怖いよなぁ~。ま、気張るこっちゃね。男の子じゃろ?』
ハイ、ガンバリマス。
「ぐッ!」
「がッ!」
「ちく、しょお……ッ!」
トン、トン、トン……と。
指先ひとつ、サソリの針気分でプスッと。
一応、直ぐに回復するとだけ伝えておく。
俺が離れれば解毒される仕組みにしたからね。
シュバッと離れてステルス、オン!
さ、コルキュアス中央区に帰りましょ。
『で、どうじゃった? 感想は! どうじゃったよホレホレ~』
テンション高ぇよだから。
まぁ、楽しかったけどさ!
……努力を裏技で踏みにじってる自覚もあるけども。
だが、あえて言おう。
それも含め快感であったと!
ゲスい? はっはっは!