ふらふら学生の街を
朝イチ。
使い魔に手紙を持たせて空へ。
数日はこの街で過ごすことに決めたので、その旨をブレイドテールと森の牙に知らせる必要がある。
しかし、彼らはハンター。
いつ、どこに、どのタイミングで居るかなんてわからない。
もちろん、そういう命令を使い魔に刻めば届けることはできるだろう。
女神チートだもの。
でも、それやると“どうやって居場所を?”ってなるじゃん?
なので、ここは蝶のそよ風に向かわせることにした。
ちゃんとお詫びの言葉も添えてね。
帰るときはお土産なんかも用意しとこ。
……これで無視されたらへこむなぁ。
素泊まり宿屋、もちろん朝食などない。
自分で用意してもいいが、宿屋の人から早朝でも営業してる飯屋はあると教えてもらっている。
せっかくだもの、お店で食べるのもいいじゃん?
ちなみにコルキュアス領の味付けは基本和食だった。
俺的にはグッドでしたね。
適当に入店。
なんと、学生が営業している飲食店。
どうやらこの街にある学園では本当に色んなことを教えているらしい。
メニューは……えーと、これは洋食的な?
スパゲッティーの味付け……ひき肉とスパイスのソース?
ふむ。これにしてみるか。
「お待たせしました! ごゆっくりとどうぞ!」
ほー、ボロネーゼ風な感じできたか。
味のほうは……うん、これはいい。
日本で食べてたヤツと比べても普通に美味いぞこれ。
へー。
学園で2年以上勉強して、かつテストに合格したら店で修行的な。
実に実践的だね。
と、いうことは?
「あ、はい。アクセサリーとか、武器防具なんかを売るお店もありますよ! 鍛冶や細工の勉強してる生徒もいますから!」
ビンゴ!
この世界のアイテム事情を知りたい俺にはピッタリじゃん!
ちゃんと役に立つ、かつこの世界に合わせた物を。
それは性能だけじゃなくてアイディア的な部分も気を付けないといけないからな。
“これぐらいなら普通だろう”は普通じゃないって、それ一番言われてるから。
……自分で自分をどんどん追い詰めてる気がするけれど、まぁ、こういうのを楽しむくらいでちょうどいいだろ。
それに、無双したくなったら遠くの国で変装して暴れればいいだけだし。
そうと決まれば早速!
「はーい! お会計……え、追加ですか? スパゲッティーをベーコンとクリームのソースで……はい。ありがとうございます! 追加注文いただきました~!」